ＥＣＢ、過度の実質金利上昇を避けるべき＝伊中銀総裁

　欧州中央銀行（ＥＣＢ）理事会メンバーのビスコ・イタリア中銀総裁は１１日、ユーロ圏の債務の規模を踏まえると、ＥＣＢは実質金利を上げすぎないようにする必要があると述べた。２０２２年７月撮影（２０２３年　ロイター／Wolfgang Rattay）

[ローマ １１日 ロイター] - 欧州中央銀行（ＥＣＢ）理事会メンバーのビスコ・イタリア中銀総裁は１１日、ユーロ圏の債務の規模を踏まえると、ＥＣＢは実質金利を上げすぎないようにする必要があると述べた。

リセッション（景気後退）を避けながらインフレ率を引き下げることは可能との見解も示した。

英ウォーリック大学が主催したイベントで「現在ディスインフレが必要なのは明らかだ」とした上で「しかしユーロ圏の民間と公的部門の債務水準を踏まえると、不必要で過度の実質金利上昇を避けるよう注意しなければならない」と語った。

「（ＥＣＢの）行動に対する信頼は、インフレ対策で力を誇示することではなく、知恵とバランスを示していくことで保たれると確信している」と述べた。

市場関係者はＥＣＢの政策金利のピークを３．２５─３．５％と予想している。金利がどこまで上昇するかという質問に対し、ビスコ氏は「われわれには分からない」と回答を避けた。

公表される指標とインフレ見通しの評価に基づいてＥＣＢは「漸進的だが慎重な方法」で利上げを続ける必要があると述べた。

「経済システムに依然として豊富（かつ過剰）な流動性が存在するが、インフレ率が目標に戻らないという強力な理由はない」との考えを示した。

１９７０年代に多くの国でインフレが続いたが、金融政策決定が大幅に改善し欧州経済も変化したことから同様の事態が繰り返される可能性は「非常に低い」と述べた。