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インタビュー:事業売却一巡、医療機器強化へM&A模索=オリンパス社長

2022年11月15日(火)14時34分

 オリンパスの竹内康雄社長はロイターとのインタビューで、非中核事業の売却は一巡し、今後は注力する医療機器を強化するため、買収を模索する考えを明らかにした。写真は同席したシュテファン・カウフマン次期社長。都内で14日撮影(2022年 ロイター/Issei Kato)

[東京 15日 ロイター] - オリンパスの竹内康雄社長はロイターとのインタビューで、非中核事業の売却は一巡し、今後は注力する医療機器を強化するため、買収を模索する考えを明らかにした。同席したシュテファン・カウフマン次期社長は約10年前の粉飾決算に触れ、企業統治の改善をさらに進める方針を示した。

オリンパスは過去3年間、事業の選択と集中を加速させた。2020年にはデジタルカメラやICレコーダーを扱う映像事業を日本産業パートナーズ(JIP)に、2022年には祖業の顕微鏡を手掛ける科学事業を米ベインキャピタルへ売却した。

竹内社長は「大きな事業売却のような動きは(この先)ないだろう」と説明。消化器内視鏡で世界最大手ながら、同社の現状を「精密機器メーカーであり医療機器メーカーではない」とした上で、医療技術の分野に経営資源を集中する考えを示した。

竹内社長は「オリンパスは何でも自分たちで作ろうとする傾向があるが、今では外部との連携が重要であることを理解している」と述べ、医療機器の強化には欠かせないデジタル技術やロボティクス分野の合併・買収(M&A)に意欲をみせた。また、品質保証や法規制対応へ投資するほか、製品や開発部門をより世界的に展開していくとした。

オリンパスは11日の決算発表で、2023年3月期の連結営業利益を下方修正した。依然として最高益を見込むものの、従来計画を下振れたことが嫌気され、翌営業日は株価が11%近く下落した。竹内社長は、原材料高と半導体不足の影響を楽観視しすぎたと語った。

それでも同社の株価は過去最高値圏で推移。粉飾決算が明るみに出て最安値を付けた2011年からは約30倍の水準にある。

他の経営陣による粉飾を告発したマイケル・ウッドフォード社長(当時)は解任されたが、それから10年以上が経ち、オリンパスは再び外国人をトップに据える。来年4月に社長に就任するカウフマン氏は粉飾決算に言及し、「深く学んだ。12─3年前とは違う会社だ」と述べた。取締役会をより多様化させたほか、意思決定のプロセスや役割をより明確にするなど、統治改革が大きく効いているとした。

会長となる竹内氏、社長に就任するカウフマン氏を含め、来年4月以降の執行体制は外国人6人、日本人4人となる。カウフマン氏は2003年にオリンパスの欧州統括会社に入社し、人事などを歴任。17年に本社の執行役員、19年に取締役となり、経営戦略やESGを担当した。

(インタビューは14日、英語で行った)

(佐古田麻優、Rocky Swift 編集:久保信博)

*写真を追加して再送します。

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