ニュース速報

ビジネス

FRBの過度な利上げで米景気後退入りの公算高まる=市場関係者

2022年10月29日(土)04時16分

米連邦準備理事会(FRB)が過度な利上げを行い、米経済がリセッション(景気後退)入りする可能性が高まっていると、ストラテジストやファンドマネジャーらがロイターのグローバル・マーケット・フォーラム(GMF)で述べた。(2022年 ロイター/Brendan McDermid)

[28日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が過度な利上げを行い、米経済がリセッション(景気後退)入りする可能性が高まっていると、ストラテジストやファンドマネジャーらがロイターのグローバル・マーケット・フォーラム(GMF)で述べた。

ICGの経済・投資調査部門責任者、ニック・ブルックス氏は「最大のリスクは、利上げに対しインフレがかなりゆっくり反応する傾向があるため、FRBが引き締め過ぎることだ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による経済の歪みがまだ完全に理解されていない利上げサイクル局面ではなおさらだ」と述べた。

米短期金利先物市場では、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)では、FRBが4会合連続で0.75%ポイントの利上げを決定するとの見方が依然として大勢だが、その後は12月のFOMCで0.50%ポイント、続く2回のFOMCでは0.50%ポイント以下の利上げが決定されるとみられている。

一方、インフレが減速しているという確固たる証拠がない限り、FRB当局者の積極姿勢が緩和することはないと、JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル債券・通貨・商品グループ(日本除くアジア)部門責任者、ジョナサン・リアン氏はいう。

リアン氏は「米国が来年、リセッション入りする可能性は5割以上」とした上で、現在の米労働市場と消費者のバランスシートの強さは「FRBに多くの利上げ継続余地を与えている」とした。

米商務省が28日発表した9月の個人消費支出(PCE)は前月より0.6%増えた。市場予想の0.4%増を上回った。8月は前回発表の0.4%増から0.6%増に上方改定された。

ホンテ・インベストメンツのアレックス・グレビッチ最高投資責任者(CIO)は、FRBは現在、消費者が主導している堅調な経済指標を重視しているため、よりハト派的なスタンスに変更する判断を先送りしそうだが、リセッションになれば政策の頭痛の種になりかねないと指摘。「株や資産価格を見れば、FRBの緩和観測が足元ですでに織り込まれていることが分かるだろう」とした。

カナダ銀行(中央銀行)が利上げペースを鈍化させたことで、FRBも同様の道をたどるのではとの見方もあるが、エミレーツNBDの株式戦略部門責任者、アニタ・グプタ氏は、カナダ中銀に他の中銀が追随すると結論づけるのは「時期尚早」とした。

ホンテのグレビッチ氏は「坂道を下りながらアクセルを踏めば、止めるのが非常に困難になる。デフレと景気後退サイクルを止めるにはすでに遅すぎるかもしれない」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イスラエル、ガザ住民受け入れ巡りアフリカ3カ国

ビジネス

三菱UFJ銀、ジャックスの持ち株比率4割に 約39

ビジネス

アングル:「官僚主義」が阻む景気回復、ドイツ企業が

ワールド

中国・イラン・ロシア、北京で次官級会合 イラン核問
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 3
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 4
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 5
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 8
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 9
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 10
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 10
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中