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ルネサスやトヨタ工場停止、村田製は深夜に火災 企業に地震の影響

2022年03月17日(木)20時13分

 宮城県と福島県で最大震度6強を観測した16日深夜の地震で、ルネサスエレクトロニクスやトヨタ自動車、村田製作所、ソニーグループといった主要メーカーの工場が稼働を停止するなど企業活動に影響が出ている。写真はトヨタのロゴ。都内で2017年8月撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 17日 ロイター] - 宮城県と福島県で最大震度6強を観測した16日深夜の地震で、ルネサスエレクトロニクスやトヨタ自動車、村田製作所、ソニーグループといった主要メーカーの工場が稼働を停止するなど企業活動に影響が出ている。ヤマト運輸や佐川急便は、交通規制などで荷物の集配に遅れが生じる可能性があるとしている。

村田製作所は、宮城県と福島県にある4つの工場が現在復旧作業中。このうちスマートフォンなどのノイズ対策に使用するチップインダクタを生産する登米工場では、地震発生後の深夜に火災が発生。すぐに鎮火したが、現在も復旧・確認作業を続けている。

スマホ向けの電波フィルタリング装置を生産する仙台工場、小型電子機器向けリチウムイオン電池などを生産する本宮工場、郡山工場では水道管が破裂するなどの被害が出ている。郡山工場、本宮工場は18日より順次生産を再開する予定。

ソニーは宮城県内の2工場と山形県の1工場の稼働を停止した。設備や安全性の確認を進めた結果、一部ダクトなどに損傷あったが、生産に影響はない範囲だった。最終確認が済み次第、宮城、山形ともに順次稼働を再開する。

稼働を停止したのは、磁気テープなど記録メディアを生産する多賀城工場、レーザープリンターなどに用いる半導体レーザー生産の白石蔵王工場、CMOSイメージセンサーの山形工場。

自動車向け半導体を手掛けるルネサスは、地震発生直後から那珂工場(茨城県ひたちなか市)と高崎工場(群馬県高崎市)の操業を停止した。生産再開の時期は「設備などの状況を見ながら決定していく」としている。米沢工場(山形県米沢市)も地震直後に操業を停止したものの、テストの一部工程で生産を再開した。

ルネサスの那珂工場は2011年の東日本大震災の際、長期にわたって稼働が止まり、自動車生産の供給網(サプライチェーン)に大きな影響を及ぼした。

ルネサスは那珂工場について、クリーンルーム内の安全を確認した上で、装置や製品の被害状況を調べるとしている。サプライチェーン全体への影響は状況を確認中という。

メモリー半導体を生産するキオクシアホールディングスの北上工場(岩手県)は、一部の製造装置が揺れを感知して自動停止した。工場全体は生産を継続している。

東北に子会社の工場があるトヨタは16日夜間、小型車の「ヤリス」や「アクア」などを生産する岩手工場(岩手県金ケ崎町)と宮城大衡工場(宮城県大衡村)、エンジンを製造する宮城大和工場(同県大和町)の稼働を停止した。同社広報によると、地震を受けて工場で働いていた従業員は避難した。3工場は17日昼間の稼働を停止したが、同日夜間から少量生産で再開。18日昼間は通常稼働の予定だが、仕入先の被害状況を確認した上で、同日夜間の稼働はあらためて判断する。生産への影響台数は未定。

日産自動車は、エンジンを生産する福島県のいわき工場、栃木県の栃木工場、神奈川県の追浜工場を含めて生産への影響はないとしている。いわき工場では地震発生後に夜勤を停止し、従業員が避難した。

IHIは、停電により福島県の相馬事業所の操業を停止、従業員の出勤も取りやめている。建屋の外観に破損がみられ、生産設備の被害を確認中。事務棟の天井の被害は、昨年2月の震災時より少ないという。

日立製作所傘下の自動車部品メーカー、日立Astemoは、福島県・宮城県にある工場が被災した。被害の程度を確認するとともに、設備点検のため工場の稼働を一時停止している。

物流面では、ヤマト運輸や佐川急便が東北地域を中心に荷物の集配に遅れが生じる可能性があると発表した。

東日本旅客鉄道によると、車両が脱線した東北新幹線は、21日まで那須塩原―盛岡間で運転を見合わせる。また、当面の間、全面的な運転再開はできない見込み、としている。電柱が傾いたり、壊れている個所もあり、復旧見込みや22日以降の運転計画は、被害状況を確認したうえで決めるという。

ロイター
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