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欧州航空大手、返金規定など搭乗客の権利保護の緩和をEUに要請
6月10日、欧州の大手航空会社を代表する業界団体、「エアラインズ・フォー・ヨーロッパ(A4E)」はオンライン記者会見で、コロナ禍を受けて、搭乗客が補償や返金を受ける権利についての欧州連合(EU)の規定を弱めることを要求していくと表明した。写真は独フランクフルトの空港。5月4日撮影(2021年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
[パリ 10日 ロイター] - 欧州の大手航空会社を代表する業界団体、「エアラインズ・フォー・ヨーロッパ(A4E)」は10日のオンライン記者会見で、コロナ禍を受けて、搭乗客が補償や返金を受ける権利についての欧州連合(EU)の規定を弱めることを要求していくと表明した。コロナ感染対策の制限措置で航空便の停止などが相次ぎ、各社が多額の返金請求に苦しんだことから、対処を求める。
規定は「EU261」と呼ばれる規則で、欠航はただちに現金で払い戻すことや、搭乗2週間未満での欠航通知、3時間超の運航遅延への補償を求める権利を消費者に認めている。会見では、こうした措置がコロナ禍の中で、多くの航空会社の資金繰りの苦境を大きく悪化させたと訴えた。
フランス・オランダ系エールフランスKLMのベン・スミス最高経営責任者(CEO)は、EUの搭乗客の権利規定は世界でも「最も懲罰的な規定の1つだ」と批判。コロナ禍などで大量の運航取りやめが発生する際に、柔軟な対処が十分にできない規定だと指摘した。
会見には英イージージェットやドイツのルフトハンザ航空、アイルランドのライアンエアの経営トップも参加した。
ただ、EUの欧州委員会は同規定の緩和を検討する準備は一切していないことを示唆している。EU当局者は「われわれは常に、消費者保護と、旅行業および運輸業の保護の適切なバランスを取ろうとしてきた」とし、「搭乗客の権利保護を継続し改善していくことが、運輸部門に必要な消費者の信頼を確実にする上で不可欠だ」とも語った。