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日銀が政策「点検」へ、効果と持続性高める手法模索

2020年12月18日(金)19時42分

日銀は18日、新型コロナウイルスの影響によって経済・物価への下押し圧力が長期間継続するとの見通しを踏まえ、効果的・持続的な金融緩和を実施していくための点検を行うと表明した。写真は日銀本店、5月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 18日 ロイター] - 日銀は18日、新型コロナウイルスの影響によって経済・物価への下押し圧力が長期間継続するとの見通しを踏まえ、効果的・持続的な金融緩和を実施していくための点検を行うと表明した。黒田東彦総裁は同日の会見で、現行の金融政策の枠組み自体を見直すことはないと明言したが、市場からは、政策の効果と持続性をバランスよく高められる手法を見い出せるかがポイントになるとの指摘が出ている。

黒田総裁は今回の「点検」について、2%の物価安定目標やオーバーシュート型コミットメント、マイナス金利など、日銀が推進してきた「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みを見直すことはないと明言した。そのうえで、イールドカーブ・コントロール(YCC)の運営や上場投資信託(ETF)などの資産買い入れの具体的な手法が見直しの対象になるとの見解を示した。

総裁は「コロナ感染症の影響もあって2%の物価目標の達成時期がかなり先になったことで、より効果的、持続可能な金融緩和手段を十分検討する価値がある」と説明。さらに、2016年の総括的検証のようにフレームワークを見直すことはしないとした。金融緩和の出口を探ったり、弱めたりするつもりはないとも強調した。点検の結果は、来年3月の決定会合をめどにその結果を公表する。

黒田総裁は、今回の点検は「オペや買い入れペースの調整といったファインチューニングのようなものか」との質問に「ご指摘になったようなものと考えた方がいい」と述べ、金融政策の枠組み見直しを含む米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)の政策レビューとは性質が異なるとも述べた。

市場では「効果と持続性のバランスをとらなければならないので、ここは難しい」(JPモルガン証券の鵜飼博史チーフエコノミスト)との声も出ており、どこまで両者に有効な手立てを見い出せるかが今後のポイントになりそうだという。

<ETF、「改善も考える」>

黒田総裁はETFについて「中央銀行の中で異例のオペレーションなのは事実だが、買い入れが直ちに持続不能になることは全くない」とする一方、「2%の物価目標の達成に向けて、より効果的で持続可能な買い入れ方式等、点検・分析し、改善すべきところがあれば改善を考える」と述べた。

ETFの購入目標額を12兆円に倍増してから来年3月で丸1年になるということもあり、市場からもETFの買い入れ額の表現を見直すタイミングではないか、との声が出ていた。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「12兆円は外す方がいいだろう。これが残っていると次の危機が来た時に買い入れを増額したと言えなくなる。『必要が生じたら柔軟に買い入れを増やす』というように言い回しを工夫したりすることも考えられる」と指摘する。

ETF以外では、フォワードガイダンスを見直し、コミットメント効果を狙うのではないかとの指摘も市場では出ている。

<コロナ特別プログラム延長、必要なら更に検討>

黒田総裁は、YCCのターゲットにする国債の年限を現在の10年から短いものにする可能性については「現時点でそのようなことは考えていない」と話した。

足元で物価の下落がみられることについては、エネルギー価格や政府の観光需要喚起策「GoToトラベル」事業の影響など一時的な要因を除けば小幅なプラスで推移しているとし、「デフレに陥るという恐れは低いと思っている」と語った。

為替市場で足元、円高が進んでいることについては「現時点で強く懸念するとか、景気への影響を考える必要はない」と述べた。

また、新型コロナウイルス対応で導入した資金繰り支援策の期限延長を決めるとともに、運用面を見直した理由について、感染拡大への警戒感が続く中、企業などの資金繰りにストレスがかかり続ける恐れがあるためと指摘した。今後の感染症の影響を踏まえて「必要があればさらなる延長を検討する」とも語った。

来年3月末だった特別プログラムの期限は9月末まで延長する。

(和田崇彦 杉山健太郎 編集:石田仁志)

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