ニュース速報

ビジネス

ドイツ銀、償還可能な債券の返済オプション行使せず 市場混乱が影響

2020年03月12日(木)23時33分

3月11日、ドイツ銀行は来月末に償還可能になる債券の返済を見送る計画を明らかにした。写真はドイツ銀のロゴ。ロンドンで2019年7月撮影(2020年 ロイター/Simon Dawson)

[ロンドン/フランクフルト 11日 ロイター] - ドイツ銀行は、来月末に償還可能になる債券の返済オプションを行使しない方針。新型コロナウイルス感染拡大を背景とする最近の市場の混乱を受けた決定で、他の銀行が追随する可能性がある。

ドイツ銀が返済を見送るのは総額12億5000万ドルのAT1債(その他ティア1債)。AT1債は偶発転換社債(CoCo債)の一種で、銀行が発行する債券としては最もリスクが高い。償還期限がない永久債と同等に扱われるが、償還可能日を迎えれば返済できる。

ドイツ銀のAT1債は4月30日に償還可能日を迎える。

AT1債は、発行体の銀行の財務が悪化した場合、公的資金で救済するのではなく、債券の保有者が損失を被るよう設計されており、2008年の金融危機後に出回るようになった。

AT1債を発行する銀行はこれまで、償還可能日を迎えてからすぐに返済するのが通例だった。ただ、例外的なケースもあり、スペインの銀行サンタンデールは昨年、返済を遅らせた。

欧州企業の社債販売を担当する銀行関係者は「市場の混乱でAT1の発行体が償還を見送るとの見方が強まった」と指摘。償還を見送るほうが大幅にコストが低いと説明した。

最近発行された他のCoCo債は、感染拡大が深刻なイタリアの銀行が発行したものを中心に、新型コロナ流行の打撃を受けている。

伊銀UBIバンカが1月に発行したAT1債(発行額4億ユーロ)は9日に利回りが174ベーシスポイント(bp)急騰し、7.17%となった。伊銀バンコBPMのCoCo債は利回りが9.67%と、月初の6.6%から大幅に上昇している。

*英文の訂正により、見出しと1段落目の表現を明確にして再送します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ショルツ独首相、2期目出馬へ ピストリウス国防相が

ワールド

米共和強硬派ゲーツ氏、司法長官の指名辞退 買春疑惑

ビジネス

車載電池のスウェーデン・ノースボルト、米で破産申請

ビジネス

自動車大手、トランプ氏にEV税控除維持と自動運転促
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中