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世界経済、ウイルス拡大で成長鈍化へ 緊急融資枠を設定=IMF
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は4日、新型コロナウイルスの急速な感染拡大に伴い、今年の世界経済は成長加速が見込めないという見方を示した。ワシントンで2018年9月撮影(2020年 ロイター/Yuri Gripas)
[ワシントン 4日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は4日、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年の世界経済の成長率は19年を割り込み、2008─09年の金融危機以降で最も低い水準になる可能性があるとの見方を示した。
新型ウイルス拡散の打撃を抑えるため、IMFは貧困国や途上国向けに500億ドルの緊急融資枠を設定する方針だ。
同専務理事は会見で「2020年の世界経済成長率は、昨年水準(2.9%)を下回る。ただ、どの程度下回り、影響がどの程度長引くを予測するのはまだ難しい」と述べた。
最新見通しは、数週間以内に発表するとした。IMFは1月時点で20年の成長率を3.3%と予測していた。
新型ウイルスの流行で世界経済が景気後退(リセッション)に陥る可能性については発言を控えた。
IMFは2月23日、世界経済の成長率は新型ウイルスの影響で0.1%ポイント下押しされるとの予想を示していたが、専務理事は、ウイルス感染が中国以外の70カ国以上に急拡大し、想定が変化したと述べた。
また、中国では感染拡大が鈍化しているものの、20年の成長率はIMFの最新予測である5.6%を下回るだろうと指摘。一方で、中国の生産再開は現時点で約60%となっており、今後数週間で90%に達すると見込んだ。
世界の金融システムについては、08─09年の金融危機前よりもはるかに耐性があるとしたが、一段の感染拡大に備え、政策当局者による協調的な措置と予防策が必要だと強調した。
<緊急融資枠を設定>
貧困国や途上国を対象にした500億ドルの緊急融資枠については、約100億ドルを貧困国向けに最長10年間、無利子で貸し出す。残り約400億ドルは中所得国向けの最長5年の低金利融資となる。
2016年にエクアドルで大地震が発生した際、同国はこの低金利融資プログラムで3億6400万ドルを借り入れた。
ただ、ブラジル、中国、インドなどの主要新興国やアルゼンチンは、IMFが債務が持続不可能と判断しているため、こうした緊急融資プログラムの対象とはならない。
IMFと世界銀行は、新型ウイルスを封じ込めるために各国が連携して取り組むことが必要だと強調しており、世界銀行も3日、途上国向けに120億ドルの融資枠を設け、支援すると発表した。
*内容を追加しました