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アングル:米短期金利が急騰、市場はさらに不安定化する可能性

10月18日、いくつかの代表的な米短期金利が跳ね上がり、FRBが追加利上げを示唆する中で、短期金融市場が今後さらに不安定になる可能性がうかがえる。写真は米ドル紙幣。シンガポールで昨年6月撮影(2018年 ロイター/Thomas White/Illustration)
[ニューヨーク 18日 ロイター] - 18日にいくつかの代表的な米短期金利が跳ね上がり、米連邦準備理事会(FRB)が追加利上げを示唆する中で、短期金融市場が今後さらに不安定になる可能性がうかがえる。
200兆ドル相当の米金融商品の指標となっている3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は約2ベーシスポイント(bp)と1日としては5月以来の上昇幅を記録し、2008年10月以降で最も高い2.469%に達した。
LIBORに関するトレーダーの予想を反映するユーロドル先物取引では、12月限の価格が急落。18日の出来高は80万枚近くに膨らみ、第2限月としては16年11月にトランプ氏が大統領選に勝利して以降では、2番目の大きさとなった。
こうした動きは、多くの市場参加者を驚かせた。ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ギイ・ルバ氏は「きょうは短期金利が大変なことになった。簡単には分からないような金融市場の資金の回り具合と関係があるのかもしれない」と話した。
一部のトレーダーは、政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートと民間銀行の超過準備に適用される付利(IOER)のスプレッドにも注目している。これはFRBが短期金利をどれだけコントロールできているかの目安になる。
超過準備は、FRBが昨年10月にバランスシート縮小に乗り出してから減少が続いている。
17日のFFレートの平均は2.19%で、IOERとの差は0.01%ポイントまで縮まった。ニューヨーク連銀のデータによると、これは08年の付利導入以来最低の水準だ。
アナリストの間からは、FFレートがIOERを上回り、FRBがFFレートを制御できなくなるのではないかとの懸念も出てきた。
もっともFRBはそうしたリスクを深刻に受け止めていない。何人かのFRB当局者は、足元の短期金利上昇に関して、バランスシート縮小と超過準備減少ではなく、財務省短期証券(Tビル)の供給の大幅な増加が原因だとみなしている。
17日に公表された9月25─26日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、先月のIOERとFFレートの接近は急速だったが一時的だと受け止められていた。
JPモルガンのエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「われわれは、Tビルの供給増が短期金利を押し上げているとするFRB(の見解)に同意する。準備金の乏しさが犯人だという証拠は乏しい」と述べた。