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イタリア中銀総裁、信任失墜の「瀬戸際」を警告 政局混迷で
5月29日、イタリア銀行(中央銀行)のビスコ総裁は同国の政局混迷が深まる中、市場でイタリアに対する信任が失墜の「瀬戸際」にあると警鐘を鳴らした。写真は同日、ローマで(2018年 ロイター/Alessandro Bianchi)
[ローマ 29日 ロイター] - イタリア銀行(中央銀行)のビスコ総裁は29日、同国の政局混迷が深まる中、市場でイタリアに対する信任が失墜の「瀬戸際」にあると警鐘を鳴らした。
イタリアでは、大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」と極右「同盟」が連立政権の樹立に失敗。マッタレッラ大統領は前日、カルロ・コッタレッリ元国際通貨基金(IMF)高官を暫定首相に指名し、2019年予算案の通過と来年初旬までに再選挙を実施する計画を進めるよう命じた。
再選挙が実施されれば、同国のユーロ圏離脱の是非を問う事実上の国民投票になり得るとの懸念から、イタリア資産は総じて売りを浴びている。
ビスコ総裁は、イタリア国債が売り込まれていることを受け、短期金利が1日としては約30年ぶりの大幅な上昇となっていることを指摘。「かけがえのない信任を失うという極めて深刻なリスクの瀬戸際にあることを忘れてはならない」と警告した。
投資家の間では、コッタレッリ暫定首相が予算案の議会通過に失敗し、再選挙が秋に実施されるとの見方が大勢。
最新の世論調査によると、同盟の支持率は3月4日の総選挙から約10ポイント上昇の27.5%、五つ星運動は3ポイント上昇の29.5%となっており、再選挙が実施されればこれら2党が議席数をさらに伸ばす可能性がある。
市場では、同盟と五つ星運動が示している財政支出拡大案を巡る懸念もくすぶる。
ビスコ総裁は、公共財政を悪化させるいかなる動きも信任や長年にわたり実施してきた改革を台無しにするとし、イタリアの重債務が信任の危機につながる恐れがあると警告。
イタリア資産の売りが深刻な問題であることを認識しているとしつつも、「現在市場で見られる状況を正当化できることは感情以外に何もない」と強調した。