ニュース速報

ビジネス

焦点:米金融規制の緩和法案可決、さらなる緩和はあるか

2018年05月24日(木)19時55分

 5月23日、米議会で金融規制改革法(ドッド・フランク法)の改正法案が通過したことを受けて、さらなる金融規制緩和を求める声も。ウォール街で2016年撮影(2018年 ロイター/Andrew Kelly)

[ワシントン 23日 ロイター] - 米議会で22日に金融規制改革法(ドッド・フランク法)の改正法案が通過した。銀行に対する規制緩和となることを受け、一部の業界団体はその他の金融規制も早急に変更されることに期待を抱いている。

ただ、同改正法案を巡る民主党内の対立が尾を引いているほか、11月に中間選挙を控えるなか、さらなる規制緩和パッケージ法案の通過は厳しくなるとの声も出ている。

スタートアップ企業支援を目的とする「2012年JOBS法」の起草を後押しした、ニューヨークの法律事務所ポールヘイスティングスLLPのディナ・エリス・ロックカインド氏は「さらなる金融サービス関連法案を提出する時間や超党派の支持が上院にあるとは思えない」と語った。

下院は22日、先に上院で可決していたドッド・フランク法改正法案を可決。上院指導部はスタートアップ・上場企業支援の追加措置を検討すると約束していた。

この妥協により、業界団体の間では、同改正法案を支持した上院民主党の穏健派が下院通過済みの資本市場関連法案を含む証券法パッケージ法案を支援する可能性があるとの期待が強まっている。

全米商工会議所、株式市場を運営するナスダック、証券業金融市場協会(SIFMA)は、過去20年で上場企業数が半減していることに対抗するには規制の変更が必要と主張。23日に下院で証言した各団体は、小規模企業に対する報告・開示・コーポレートガバナンス義務負担を軽減する措置を訴えた。

全米商工会議所とナスダックの広報担当者は23日、ロイターに対し、証券市場改革が超党派の問題となっているため、民主党が規制の変更を後押しする可能性があるとの認識を示した。

ただ、ドッド・フランク法改正を巡り、民主党のエリザベス・ウォーレン氏を含む一部上院議員が表立って同僚の同党議員を非難するなど激しい対立がみられたことで、関係筋は民主党の穏健派が中間選挙を控え金融規制に再び触れるのは難しくなるのではないかと指摘する。

上院でさらなるパッケージ法案を可決するには少なくとも8人の民主党議員が共和党側に付く必要がある。

ドッド・フランク法改正法案の民主党起草者であるハイディ・ハイトカンプ上院議員は22日、ロイターに対し、さらなる規制緩和を支援することを約束していないとしつつ、後押ししたい項目が出てくる可能性があると述べた。

別の民主党起草者であるジョー・ドネリー上院議員は、同議員の広報担当者によると、さらなる法案の検討に前向きだという。

資本市場改革を目指すロビイストの活動は時間との戦いでもある。上院は秋に選挙戦が始まるのを控え既に公聴会がめじろ押しで、証券法案に関する審議が追いやられる可能性もある。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

レバノン北部のシリア国境に初のイスラエル空爆と閣僚

ビジネス

鴻海、トランプ関税の影響軽微と予想 世界的な生産拠

ワールド

訂正カナダ中銀副総裁、トランプ関税は「両国経済に影

ワールド

中国国営メディア、米中の関税戦争を警告 トランプ氏
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    放置竹林から建材へ──竹が拓く新しい建築の可能性...…
  • 5
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 6
    こんなアナーキーな都市は中国にしかないと断言でき…
  • 7
    早送りしても手がピクリとも動かない!? ── 新型ミサ…
  • 8
    トランプ関税より怖い中国の過剰生産問題
  • 9
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 10
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 8
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中