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需給維持に緩和継続が重要、効果強まれば色々考える=桜井日銀委員
5月24日、日銀の桜井真審議委員(写真)は群馬県前橋市内で会見し、先行きの金融政策運営について現在の適度な需給バランスを維持するためにも、現行の緩和策を継続していく重要性を強調する一方、物価動向と緩和効果の強まりに応じた政策調整の可能性もにじませた。2016年4月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)
[前橋市 24日 ロイター] - 日銀の桜井真審議委員は24日、群馬県前橋市内で会見し、先行きの金融政策運営について現在の適度な需給バランスを維持するためにも、現行の緩和策を継続していく重要性を強調する一方、物価動向と緩和効果の強まりに応じた政策調整の可能性もにじませた。
桜井委員は午前の講演で、金融政策は「現在のような、適度に需給の引き締まった状態を長く維持することを目指すべき」と主張していた。
会見でも、需給は「現在がバランスが取れている状況に近い」と指摘。需給ギャップが「あまり大きくなる危険が出てくるとか、大きなマイナスになることは避けるべき」とし、「大胆に需要を強くしてしまうと、いろいろな不均衡が溜まりやすくなる」と供給制約も意識される中で、需要だけを意識した政策に否定的な考えを示した。
これを踏まえた先行きの金融政策運営は「需給のバランスをきちんと保っておくことに主眼を置きたい」と強調。需要に合わせて供給を伸ばしていくには時間を要することから「あまり急がずにやっていくのが大事だ」とし、物価上昇が鈍い現状では「イールドカーブ・コントロールの変更を考える必要はない。いろいろなことをやるのは早過ぎる」との認識を示した。
もっとも、先行きも景気拡大の持続や需給の引き締まりが想定されている中で、「ある程度物価に動きが出始めれば、金融緩和効果がさらに強まる。そうしたタイミングになった時は、いろいろ考える必要がある」と緩和効果の強まりに応じた政策調整の可能性もにじませた。
また、金融緩和による低金利の長期化が金融機関収益に累積的に影響を与えていることは事実としたが、「現時点でそれほど深刻な問題ではない。副作用によって政策を変える必要があるという段階ではない」と主張。
今後も金融緩和の効果と副作用を慎重に点検しながら金融政策運営を行っていくとし、「本当にマイナスの効果が非常に大きくなるのであれば、そこで新たな政策を考えなければいけない」と語った。
(伊藤純夫)