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アングル:中銀のフォワードガイダンス、かえって市場の混乱に
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5月11日、中央銀行があらかじめ金融政策の道筋を示すことで市場の安定を図る「フォワードガイダンス」が、かえって市場を混乱させる例が目立っている。写真はミラーに映る日銀本店。都内で2012年11月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)
[ロンドン 11日 ロイター] - 中央銀行があらかじめ金融政策の道筋を示すことで市場の安定を図る「フォワードガイダンス」が、かえって市場を混乱させる例が目立っている。
金融市場はほんの数週間前まで、イングランド銀行(BOE、英中央銀行)が5月10日に利上げすることを確信していた。しかしカーニー総裁が意表を突くハト派的な発言を行ったことで流れは一転し、ポンド相場は急落した。
理論上、フォワードガイダンスは金融政策の見通しを分かりやすくして企業や金融機関のリスクを和らげ、投資を促進する。一般市民にとっても、家計の計画を立てやすくなる効果が期待されている。
カーニー総裁が姿勢を翻したのは今回が初めてではなく、2014年には議員から「不誠実なボーイフレンド」というあだ名まで付けられた。
総裁はBOEが金利据え置きを決めた10日の記者会見で「(家計や企業は)BOEが何らかの規定路線をたどることを期待してはいない。受動的ではなく慎重な行動を望んでいる。従って、状況が適切ならわれわれは政策を調整する」と述べ、金融市場やメディアではなく、主に家計や企業を意識していると強調して批判をかわそうとした。
しかし、それではなぜガイダンスを示すのかという疑問が浮かぶ。
フォワードガイダンスを示して撤回を迫られたのは日銀も同じだ。黒田東彦総裁は3月、2%の物価上昇率目標が予想通りの時期に達成されていれば、2019年度ごろに出口政策を検討しているだろうと発言。しかし数日後、「19年度に直ちに出口を迎えると申し上げたわけではない」と釈明した。
(Jonathan Cable記者)