ニュース速報

ビジネス

カナダは景気サイクルの重要局面にある=中銀総裁

2017年11月01日(水)08時28分

 10月31日、カナダ銀行(中央銀行)のポロズ総裁(写真)は議会で証言し、カナダは景気サイクルの重要局面にあり、かなりの不確実性に直面しているとの見解を示した。2016年1月撮影(2017年 ロイター/Chris Wattie/File Photo)

[オタワ 31日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のポロズ総裁は31日、議会の委員会で証言し、カナダは景気サイクルの重要局面にあり、かなりの不確実性に直面しているとの見解を示した。その上で、政策金利の変更には慎重を期すとあらためて述べた。

カナダ銀行(中央銀行)は今年に7月、9月と立て続けに利上げを決めたが、先週の10月会合では政策金利を1.00%に据え置いた。中銀は10月会合後、金融刺激策の必要性は時間とともに低下するとしつつも、カナダ経済が直面するリスクや不透明性を踏まえ、将来の金利変更については慎重を期すと明らかにしていた。

ポロズ総裁は議会で「カナダは景気サイクルの重要局面にあり、先行きは不確実性に覆われている」と発言。

来年以降の成長鈍化が見込まれる中、中銀にとっての主な不透明要因として、インフレと賃金の緩やかな伸びとともに、高水準の家計債務を挙げた。

総裁は、高水準の家計債務はネガティブショックに対する経済の脆弱さが続いていることの表れだと指摘。中銀は家計が借り入れコストの上昇にどう対応するかを注視していくと述べた。

総裁と同じく、議会の委員会に出席した中銀のウィルキンス上級副総裁は、借り手の住宅ローンのタイプが変動金利か固定金利かにより、金利上昇の影響は異なる可能性があると発言。金利上昇の影響が現れるまでに最長で24カ月かかる可能性があるとし、金利上昇によって消費と住宅価格の双方が抑制される可能性があるとも述べた。

カナダでは世界的な金融危機後の低金利を背景に住宅市場が活況となる一方、消費者の過度の借り入れが懸念されてきた。

規制当局は先週、カナダの住宅市場について、今後2年間で販売と価格の伸びの鈍化が見込まれるものの、過熱の兆候は消えていないと指摘した。

カナダ統計局が31日発表した8月の国内総生産(GDP)は前月比0.1%減少。ロイターがまとめたアナリスト予想(0.1%増)に反してマイナスとなり、中銀が当面利上げを見送るとの見方を後押しする内容だった。

市場が織り込む、次の12月会合での利上げ確率は21.3%にとどまる。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国主席との会談急がず、報復関税は「問題ない」=ト

ワールド

スウェーデンの学校で銃撃、10人死亡か 警察「テロ

ワールド

米連邦政府職員2万人超、政権の退職勧奨に応じる

ビジネス

分散投資型のヘッジファンドが人気、市場動向不安定で
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 4
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 5
    中国AI企業ディープシーク、米オープンAIのデータ『…
  • 6
    脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?…
  • 7
    DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    メキシコ大統領の外交手腕に脚光...「トランプ関税」…
  • 10
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 9
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 10
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中