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タカタ再建、ダイセルなど6─7社がスポンサー候補に=関係筋

2016年08月26日(金)19時38分

 8月26日、エアバッグ大規模リコールで経営悪化が懸念されるタカタの再建スポンサー選びが新たな段階に入った。関係筋によると、当初30社程度あった候補企業は、ダイセル、米投資ファンドKKRなど6―7社に絞り込まれた。写真はタカタのロゴ、5月都内で撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 26日 ロイター] - エアバッグ大規模リコール(回収・無償修理)で経営悪化が懸念されるタカタ<7312.T>の再建スポンサー選びが新たな段階に入った。複数の関係筋によると、当初の30社程度あった候補企業は、化学品メーカーのダイセル<4202.T>、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)など6―7社に絞り込まれた。

ダイセルなどはすでにタカタの資産査定に入っており、9月中旬にも2社程度が最終候補として指名される見通しだ。

関係筋によると、候補に残っているのはダイセル、KKRのほか、中国の寧波均勝電子<600699.SS>、米系ファンドのベイン・キャピタルなど。当初、スポンサー候補に名乗りを上げた企業は投資ファンドや事業会社など30社近くにのぼり、タカタの再建計画を策定している外部専門家委員会が同社のフィナンシャルアドバイザーとなった米M&A助言会社ラザードとともに選定を進めてきた。

同委員会では、現時点で候補に残っている6-7社に出資金額も含めた再建プランの提示を求め、2社程度を最終候補に選定する方針。10月にはスポンサー企業を内定し、年内に正式決定したいとしている。

タカタ再建をめぐっては、膨大な額にのぼるリコール費用の負担が最大の障害になっており、その処理を進めるうえで、ホンダ<7267.T>など自動車メーカーの協力が欠かせない。このため、同委員会ではスポンサーの最終選定にメーカーの意向も反映させる方針で、最終候補となる企業には自動車各社への説明も要請する。これにより、メーカーから出資も含めた支援も得たい考えだ。

スポンサー候補として名前があがっているダイセルはタカタに対し、リコールの原因となったインフレ―ターとは別の火薬原料を使った製品を供給している。タカタはダイセルの製法や品質管理のノウハウを取り込むために、共同出資による生産会社設立なども検討してきた。

タカタのリコール費用は1兆円規模に膨らむ可能性があるが、同社の自己資本は今年6月末時点で1090億円程度にとどまっている。同委員会では、タカタが債務超過に陥りかねないと判断、債務を整理したうえで、スポンサーからの出資を受け、財務基盤を立て直す考えだ。また、大規模リコールを招いた経営陣の刷新も図り、抜本的に経営体制を見直す。すでに、高田重久会長兼社長は6月の株主総会でも辞意を示している。

ただ、関係者の中には「リコール費用がどこまで膨らむか見えないなかで、簡単に再建のスキームは描けない」との指摘もあり、選定作業が計画通りに進むかどうかは不透明な面もある。

(布施太郎 藤田淳子 取材協力:白木真紀、田実直美 編集:北松克朗)

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