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第4四半期の米GDP速報値0.7%増に減速、15年は2.4%増
1月29日、2015年第4・四半期の米GDP速報値は前期比0.7%増と、2.0%増の第3・四半期から急減速した。写真は2014年2月、ニューヨークで撮影(2016年 ロイター/
[ワシントン 29日 ロイター] - 米商務省が29日発表した昨年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は、季節調整後の年率換算で前期比0.7%増となり、2.0%増の第3・四半期から急減速した。市場予想とほぼ一致した。
企業が在庫解消に動いたほか、ドル高や世界需要の鈍化が輸出の重しとなった。原油安に伴ってエネルギー企業が投資削減をさらに進めたほか、季節外れの暖かい天候で暖房費が減り、消費者支出の伸びが減速した。在庫と貿易を除いたGDPは1.6%増だった。
2015年通年の実質GDPは2.4%増で、伸び率は14年と同じだった。
統計発表後、米国債利回りはやや低下、ドルの主要通貨に対する上昇傾向は続いた。米株価指数先物はわずかに値上がりした。
米連邦準備理事会(FRB)は27日、国内経済について「昨年末に減速した」とする一方で「雇用情勢はさらに改善する」との認識を示した。FRBは昨年12月、06年6月以来となる利上げに踏み切った。3月に再び利上げする選択肢は除外していないものの、不安定な金融市場の状況を踏まえると、再利上げは6月まで後ずれする可能性がある。
TDセキュリティーズの米国次席エコノミスト、ミラン・マルレイン氏は「経済減速の主な要因は(米国以外の)世界的な弱含みやドル高、長引く在庫調整だ。内需の底堅さが続いていることを示す前向きなサインはFRBにとって励みとなるだろう」と話している。
第4・四半期の在庫投資は686億ドルだった。第3・四半期の855億ドルからは減ったが、市場予想はやや上回った。在庫が完全に解消されておらず、ことし第1・四半期も引き続き経済活動の重しとなることを示唆している。
在庫投資は、第4・四半期のGDPを0.45ポイント押し下げた。
GDPの3分の2以上を占める個人消費は2.2%増。前期の3.0%増と比べて伸びが鈍化したが、市場予想は上回った。異例に暖かい天候で12月の冬物衣料の販売が鈍かったほか、四半期を通じて暖房需要が低迷した。
ガソリン価格が1ガロン=2ドル程度の安値で推移する中、労働市場が引き締まってきたことで賃金は徐々に上昇し、住宅価格も値上がりして家計の資産価値を押し上げると予想されており、エコノミストらは消費者支出の減速は一時的なものにとどまるとみている。
税金や物価変動を調整した家計の可処分所得は3.2%増えた。第3・四半期の3.8%増と比べると伸びがやや鈍った。貯蓄は第3・四半期の7006億ドルから7393億ドルに増えた。
ドルは米国の主要な貿易相手国の通貨に対して昨年1月から約11%上昇しており、引き続き輸出の重しになった。貿易はGDPを0.47ポイント押し下げた。
エネルギー企業のコスト削減の影響で、住宅以外のインフラ投資を圧迫した。石油探索・掘削への投資は38.7%減少した。第3・四半期は47.0%減だった。2015年全体では35.0%減と、1986年以来の大きなマイナスだった。
原油価格は14年半ばから60%を超える値下がりとなっており、世界最大の油田サービス、米シュルンベルジェや米資源開発サービス大手ハリバートンなどの投資予算を圧迫している。
機器の設備投資は2.5%減だった。前期の9.9%増からマイナスへ転じた。
住宅投資は8.1%増え、その他の設備投資が低調な中で明るい材料となった。
個人消費が弱含んだことで、物価上昇圧力も弱まった。食品・エネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数は1.2%上昇と、前期の1.4%上昇から減速した。