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ユーロ圏首脳はギリシャ改革案を評価、週内合意目指す

2015年06月23日(火)10時11分

 6月22日、EUは対ギリシャ支援問題を協議するためユーロ圏の緊急首脳会議を開催、欧州委員会のユンケル委員長は、「週内の合意を確信している」と強調した。ブリュッセルで撮影(2015年 ロイター/Charles Platiau )

[ブリュッセル 22日 ロイター] - 欧州連合(EU)は22日、対ギリシャ支援問題を協議するためユーロ圏の緊急首脳会議を開いた。首脳らはギリシャ政府が新たに提出した財政再建策を、数日中の合意に向けた土台になるとして評価した。

会議を主催したトゥスクEU大統領は、24日夜のユーロ圏財務相会合で支援策を承認、25日朝にユーロ圏首脳の最終承認を目指す考えを示した。ただその前に、欧州政府、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の間で、詳細について合意する必要があると述べた。

ユンケル欧州委員長は「週内の合意を確信している」と強調した。

<ギリシャ改革案、定年引き上げや富裕層増税盛り込む>

ギリシャが提示した新たな財政再建策には、定年を段階的に67歳に引き上げることや、法人と富裕層への増税などが盛り込まれた。しかし、債権団が当初要求していた年金・賃金の引き下げは内容になく、また電気料金の付加価値税引き上げや、労働者保護法の緩和も回避した。

一方、メルケル首相は「合意できるという保証はない」、ショイブレ財務相はギリシャ案に新味はないと述べるなど、ギリシャの最大の債権国であるドイツはなお、ギリシャへの不信感が拭い切れないようだ。

出席者によると、ショイブレ独財務相は、週内に合意できなかった場合、ECBがギリシャの銀行への緊急流動性支援(ELA)を続けるべきかどうか疑問を投げかけ、資本規制の可能性にも触れた、という。

ただ、あるギリシャ政府関係者の話によると、ドラギECB総裁はギリシャのチプラス首相と個人的に会い、ギリシャが支援プログラムの枠内にある限り、ギリシャの銀行への支援は続けるとの方針を示した。

ギリシャの銀行からの預金流出が続くなか、ECBはきょう、ギリシャ銀行へのELA枠を引き上げた。引き上げはこの1週間で3回目。

<欧州株そろって上昇>

チプラス首相は債務カットも求めているが、メルケル首相とユンケル委員長は、今はこの問題を話し合うべきときではないと一蹴した。EU筋によると、チプラス首相はきょうの首脳会議で非常に協力的な姿勢を示し、週内合意に向け、提案に関する作業を進めることを約束した。

またユンケル委員長は、ギリシャの経済成長を支援するための措置として、2020年まで350億ユーロのプログラムを提案した。既存のギリシャ向けのEU予算を振り替えて対応するものとみられる。

合意への機運が高まっているとの見方から、欧州市場は総じて堅調となった。欧州株が1週間ぶり高値をつけたほか、ギリシャ株は9%高。イタリアやスペイン、ポルトガルの借り入れコストは大幅に低下した。

ドイツとフランスの主要株価指数は、4%近く上昇して終了した。

*写真を更新しました。

ロイター
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