ニュース速報

ビジネス

ギリシャ緊張状態続く、預金流出加速や銀行支援拡大の動き

2015年06月20日(土)05時54分

 6月19日、ギリシャをめぐる緊張状態が続いた。写真はアテネの中銀前で同日撮影(2015年 ロイター/Paul Hanna)

[アテネ/ルクセンブルク 19日 ロイター] - ギリシャをめぐる緊張状態が19日も続いた。国内銀行から預金流出が加速するなか、欧州中央銀行(ECB)は、銀行への流動性支援を拡大。チプラス首相は事態打開に自信と冷静さを示した。

19日は、銀行からの預金引き出しが推定約12億ユーロ(13億ドル)に達し、今週だけで約42億ユーロが流出したと、銀行関係者が明らかにした。関係筋の1人は「昨日よりも今日の方が厳しい状況だ。22日も同様に困難な公算が大きい」と述べた。

ギリシャ当局者によると、ECBは電話会議を開き、緊急流動性支援(ELA)枠を18億ユーロ拡大した。週明け22日のユーロ圏首脳会議まで、銀行システムを機能させるのに十分な規模とみられている。

ECBは22日の緊急首脳会議終了後、ELA枠を再び見直す、と当局者は説明した。

チプラス首相は緊急首脳会議の開催を歓迎。債務危機の解決によりユーロにとどまりながら、成長に戻ることが可能になるとの見解を表明した。

同氏は声明で「欧州連合(EU)規定と民主主義を順守した上で、ユーロのなかでギリシャを成長に戻すための解決となるだろう」と述べた。

ギリシャ中銀は、銀行システムが依然安定しているとして、預金者の懸念払しょくに努めた。

中銀は声明で「総裁は、銀行システムの安定性を確認した。同システムは、ギリシャ銀行(中央銀行)とECBの共同行動によって完全に守られている」とした。

現時点では、各銀行の支店前に行列ができる事態に至っていない。銀行筋の1人は「行列ができたり、パニックが起きたりしておらず、引き出し状況は静かで緩やかな段階だ」と語った。

国内最大の石油精製業者、ヘレニック・ペトロリアムの広報担当者はロイターに、緊急計画を策定したと説明。国家が非常事態に陥った場合に備え、数カ月分の燃料を確保するという。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、5月8から3日間の停戦を宣言 ウクライナ懐

ワールド

パキスタン国防相「インドによる侵攻差し迫る」、 カ

ワールド

スペイン・ポルトガルで大規模停電、市民生活混乱 原

ワールド

BRICS外相会合、トランプ関税の対応協議 共同声
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 8
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    【クイズ】米俳優が激白した、バットマンを演じる上…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中