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ファーストリテ、通期業績予想を上方修正 秋冬物1割値上げ

2015年04月09日(木)20時01分

 4月9日、ファーストリテイリング は、2015年8月期業績見通しを上方修正した。国内外でユニクロ事業が好調に推移している。都内で昨年7月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 9日 ロイター] - ファーストリテイリング<9983.T>は9日、2015年8月期業績見通し(IFRS)を上方修正した。国内外でユニクロ事業が好調に推移したことが主因。また円安や原材料価格などの上昇を受け、15年秋冬物商品から平均1割程度の値上げを実施するとも発表した。

連結売上高は1兆6000億円から1兆6500億円(前年比19.3%増)へ、営業利益は1800億円から2000億円(同53.4%増)へと引き上げた。トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト22人の営業利益予測平均値は1972億円で、会社計画はこれをやや上回っている。年間配当予想も30円上方修正し、350円を計画している。

国内のユニクロ事業では通期の既存店売上高計画を従来の3.5%増から5.5%増に上方修正した。9━2月期(上期)で8.4%増となっており、当初計画の3.5%増に対して上振れて推移していた。

ただ同事業の下期営業利益は、原価のコストアップなどで前年同期比で横ばいとなる見込み。

柳井正会長兼社長は会見で、今回の値上げは今後の事業に一定の影響を「及ぼさないと思う」との見方を示す一方、「今の為替レート、諸般の事情から考えたら、やむを得すこういうことをやるということを、一番最初に顧客に伝えなくてはならない」と述べ、円安などが値上げ実施の要因との考えを示した。

<北米は苦戦続く>

今期の海外ユニクロ事業は大幅な増収増益を見込む一方、米国の赤字幅は拡大する見通しという。

同社の計画では、今年秋に海外ユニクロ店舗数は日本の店舗数を上回る。中国や台湾など「グレーターチャイナ」の売上は今期3000億円に迫り、同地域の成長が業績をけん引する見込み。2月末時点で415店舗ある同地域では「5年後ぐらいには1000店舗になる」(柳井会長兼社長)としている。

一方、北米では今後も年間約20─30店舗の出店を継続。3年後には売上1000億円、営業利益100億円を目指す方針を示した。

<株式分割には否定的>

同社の株価は9日終値で前日比920円高の4万8500円。年初来高値を付けている。日経平均株価は同日、2万円台に迫る値動きを見せつつ、前日比で147円の上昇となったが、同社株の上昇が約36円の押し上げ要因となっており、指数への寄与度は大きい。

足元の日本株の上昇について柳井会長兼社長は「株価は人気投票のようなもので、市場に対して何か意見を申し上げるべきではない」としながらも「日本企業の価値が上がる。企業にとってはいいことだ」と指摘した。日経平均に対する同社株の寄与度の大きさについては「影響しているかは分からない。それもいい影響なのか、悪い影響なのかは分からない」(柳井会長兼社長)と述べた。

また株式分割については「今のところは考えていない」(同)という。岡崎健グループ上席執行役員CFOは、同社株には流動性が確保されているとしたうえで「個人には投資しづらい価格帯であることは認識はしている。個人投資家に買っていただける工夫はしていきたい」と話した。

14年9月─15年2月期の連結業績は売上高が前年同期比24.2%増の9496億円、営業利益が同40.2%増の1500億円となった。全セグメントで増収増益。また想定よりも為替が円安方向に振れたことから、外貨建資産の換算差額が増加し、純利益は同56.2%増の1047億円となった。

みずほ証券は9日付のレポートで、上期の営業利益について「予想を大幅に上回る着地はポジティブサプライズ」と指摘。「国内、海外ともにユニクロ事業が高伸長を継続している」と評価している。

*株式分割に関するコメントなどを追加しました。

(清水律子 長田善行 編集:宮崎大)

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