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アングル:中国が元の地位向上に躍起、IMFのSDR採用めざし

2015年03月27日(金)14時08分

 3月26日、中国は今週、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨に人民元を採用するようトップセールスを展開した。写真は人民元紙幣、2013年5月撮影(2015年 ロイター/Petar Kujundzic)

[香港 26日 ロイター] - 中国は今週、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨に人民元を採用するようトップセールスを展開した。一段の人民元改革を約束し、採用に向けた地ならしを進めている。

国際準備資産であるSDRのバスケットに人民元が採用されれば、中国の国際的な地位が大幅に向上し、外貨準備資産の一部として人民元を保有する中央銀行も増えそうだ。

中国国営の新華社によると、中国の李克強首相はラガルドIMF専務理事に対し、「中国はSDR(への人民元採用)を通じ、金融の安定維持や、中国の資本市場および金融分野の開放促進に向け、国際協調の中で積極的な役割を果たすことを望んでいる」と述べた。

これとは別に、IMFがSDRの構成通貨採用で人民元の完全な交換性実現を求めていないにもかかわらず、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は、年内に資本勘定の完全な交換性を実現するために努力すると表明した。

市場の想定よりも早期に人民元の完全な交換性を実現するとの目標は、金融市場改革の深化に向けた中国の意欲を示している。

HSBCのストラテジストは顧客向けノートの中で「中国がSDR採用の準備ができているとする周総裁の見方をわれわれは共有する。年内に人民元がSDRに採用される可能性が高いとわれわれは考えている」と指摘した。

HSBCは、人民元がこの10年間の終わりまでに、世界で最も活発に取引される五大通貨の一角を占めると予想。中国政府が改革を実行すれば人民元の完全な交換性が2017年までに実現すると見込んでいる。

米ドル、ユーロ、ポンド、円で現在構成されるSDRバスケットをめぐっては、5月の非公式理事会で第1段階の見直しがまず行われ、10─11月に正式な再評価が実施される運びだ。構成に変更があれば、2016年1月から適用されることになる。

前回SDRバスケットの見直しがあった5年前との違いは、中国が国内市場開放ペースを大幅に加速させ、外国人投資家による人民元利用の選択肢を増やしたことだ。

実際、国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、「レッドバック」とも呼ばれる人民元はカナダドルや豪ドルを抜き、世界の決済通貨トップ5入りを果たした。クロスボーダーの人民元建て貿易決済が中国貿易全体に占める割合も、2010年の1%から20%強に上昇した。

さらに、関係筋がロイターに明らかにしたところによると、中国国際決済システム(CIPS)と呼ばれる人民元決済インフラの準備が整い、9月か10月にも始動する予定。これは人民元国際化に向けた最大の障害の1つがなくなることを意味する。

中国国家外為管理局(SAFE)によると、中国は1996年以来、経常勘定の下で完全な交換性を実現しているほか、資本勘定でも40項目のうち34項目で既に交換性が実現しているという。

ただ、証券投資や借り入れといった主だった分野は、資本の急激な流出、もしくはホットマネーの流入への警戒から依然として規制の対象となっている。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリストは、SDRバスケットにおける人民元のウエートは約13%となり、ポンドと円を上回ると見込んでいる。だが、依然としてドルやユーロには遠く及ばない水準だ。

(Michelle Chen記者 翻訳:川上健一 編集:加藤京子) 

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