ニュース速報

ビジネス

インタビュー:日銀緩和で流動性低下、国債買えず=富国生命社長

2015年02月26日(木)17時35分

 2月26日、富国生命保険の米山好映社長は、ロイターとのインタビューで、日銀の大規模な金融緩和により国債市場の流動性が低下しているなかでは国債は買えないとし、来年度も引き続きヘッジ付外債、株式への投資を検討していると明らかにした。都内で昨年1月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai )

[東京 26日 ロイター] - 富国生命保険の米山好映社長は26日、ロイターとのインタビューで、日銀の大規模な金融緩和により国債市場の流動性が低下しているなかでは国債は買えないとし、来年度も引き続きヘッジ付外債、株式への投資を検討していると明らかにした。

生保各社は、利回り低下により国債への妙味を見い出せないことから、外債など他の資産への投資を増やしている。

米山社長は「国債市場の流動性がほとんどなくなっており、仮に長期金利が2%を超えていても、そういうものは持つべきでない、危ないというのがわれわれの運用哲学」と述べ、金利水準のみならず、市場の流動性という観点からも国債への投資に対して慎重な姿勢を示した。

日銀は昨年10月、2013年4月に量的・質的金融緩和(QQE)を導入して初の追加緩和に踏み切り、長期国債の年間買い入れ額を50兆円から80兆円(残高増加ベース)に引き上げた。

米山社長は、国債市場の流動性が著しく低下するなかでは金利が一方向に振れやすくなる可能性について懸念を示し、「われわれにとっての最大のストレスは超低金利だが、市場のショックにより金利が急上昇したときが最大のリスクと考えている」と述べた。

米山社長は「運用にとっては非常に厳しい状況が今後も続いていく」とし、今年度に続き、来年度もヘッジ付き外債や株式に投資していく方針。富国生命は2014年度、6年ぶりに国内株式を積み増している。

同社の運用資産のうち、12月末現在の国内公社債の簿価残高は3月末と比べ約130億円減少の2兆7840億円。一方、国内株式は約83億円増の3210億円、外国証券が810億円増の1兆2670億円となった。

金利低下の逆風が吹く中、足元の業績は好調だ。富国生命の2014年度上半期の基礎利益は前年同期比8.6%増の450億円となった。外国証券の利息配当収入が増加したのが主因だ。米山社長は、リーマンショック時のドルが80円近辺のときに購入した外債の利息が円安で増えており、またそれらの債券の償還までかなりの時間があるため、来年度も今年度並みの運用利回りは確保できるとしている。

ただ、新規の投資については、「当面は身をかがめてやっていく」と発言。無理に利回りの低い資産を積み上げることはせず、貯蓄性の商品を中心に販売を抑制していく考えを示した。

(和田崇彦 浦中大我)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは横ばい140円後半、米利下げにらみ

ビジネス

日経平均は続落、米ハイテク株安や円高で 主力株に売

ワールド

WTO事務局長、2期目続投意向 「やり残した仕事」

ビジネス

アングル:「先行指標」ラスベガス労働市場は堅調、F
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優雅でドラマチックな瞬間に注目
  • 2
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰だこれは」「撤去しろ」と批判殺到してしまう
  • 3
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない」との研究が話題に...その仕組みとは?
  • 4
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将…
  • 5
    バルト三国で、急速に強まるロシアの「侵攻」への警…
  • 6
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 7
    原作の「改変」が見事に成功したドラマ『SHOGUN 将軍…
  • 8
    広報戦略ミス?...霞んでしまったメーガン妃とヘンリ…
  • 9
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座…
  • 10
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 4
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 5
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 6
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 7
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 8
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 9
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 10
    33店舗が閉店、100店舗を割るヨーカドーの真相...い…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すればいいのか?【最新研究】
  • 4
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 5
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 6
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 7
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 8
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 9
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 10
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中