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ギリシャ問題影落とす、G20が成長支援へ行動用意
2月10日、G20会合は声明を採択して閉幕した。写真は出席者ら。イスタンブールで同日撮影(2015年 ロイター/Osman Orsal)
[イスタンブール 10日 ロイター] - トルコで開催されていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は10日、世界経済に関して慎重な見方を示し、必要なら成長支援に向け金融、財政政策を講じるとする声明を採択して閉幕した。
声明は「われわれは金融、財政政策のあり方を継続的に見直し、必要なら断固とした行動を取る」としている。
ルー米財務長官は世界経済の成長を米国のみに頼ることは良くないとして、ドイツなどの欧州諸国に支出拡大を求めた。
「欧州では需要が不足しており、財政政策が必要だ。財政余地の程度には違いがあるが、余地があるなら、需要拡大に活用すべき」と主張。
世界経済を車に例え、1つのタイヤだけがしっかりしていてもあとの3つがダメなら機能しないように、「米国が唯一の強力なタイヤなら、世界経済にとり望ましくない」と語った。
だがショイブレ独財務相は、米国だけでなく、「欧州の成長見通しも強まっている」と述べ、欧州経済に関しより明るい見方を示した。
経常黒字国であるドイツは、G20からの支出拡大要求をこれまで退けており、今回の声明でも、債務の国内総生産(GDP)比率を持続可能な軌道に乗せる方針が明記された。
G20会合では、ユーロ圏や日本の成長低迷に言及、一部の新興国も経済が減速しているとの認識を示した。
その上で、ユーロ圏経済の回復支援を一段と促すとして、欧州中央銀行(ECB)による量的緩和実施の決定を歓迎した。
さらに原油価格の急落も世界経済の成長押し上げの一助となるとの認識を示した。
議長国のトルコは、需要促進に向け具体的な投資目標の設定を提案したが、会合では受け入れられなかったもよう。
声明ではまた、テログループの資金源を断つための協調行動を求め、「テロリズム資金やマネーローンダリング(資金洗浄)に悪用されるリスクを低減するため、決済制度の透明性強化に向けた指針」の策定を呼びかけた。
<通貨政策めぐり不協和音か>
米財務省高官によると、ルー長官は「米国の労働者や企業が公正な競争環境を確保できるよう注力しており、いかなる国も輸出押し上げに向け為替レートを活用すべきではない」と強調。競争的な通貨切り下げ回避など、為替に関する既存のコミットメントを堅持する必要性を訴えた。
米政府内にはこれまで、ユーロや円の下落は景気支援策に伴う不可避の結果として概ね容認する空気があった。だが今回の長官の発言は、米国が為替操作の動きを警戒し始めている兆候ともいえそうだ。
一方、ECB理事会メンバーのノワイエ仏中銀総裁は、通貨安競争の兆候はなく、金融緩和の必要性をめぐる共通の理解があったと語った。
「G20内では、金融政策は中銀に課せられた物価目標の達成に向け、国内の事情で講じられているとの明確な意見の一致がある」とし、過去に存在した競争的な通貨切り下げをめぐる疑念は消失したとの認識を示した。
日銀の黒田東彦総裁も、日本の積極的な金融緩和に対する批判はなかったと述べた。
<ギリシャ問題影落とす>
今回の声明にギリシャ問題に関する言及はなかったが、G20の合間に行われた2カ国間協議やその他の会合では、ギリシャと欧州諸国との債務協議の行方をめぐり、多くの時間が割かれたようだ。
ECB理事会メンバーのワイトマン独連銀総裁はロイターとのインタビューで、ギリシャは財政健全化や経済改革で、信頼できる取り組みを行う必要があるとの認識を表明。ギリシャ問題で歩み寄る姿勢は全く示さなかった。
*内容を追加して再送します。