- HOME
- コラム
- 現代ニホン主義の精神史的状況
- 日本で車椅子利用者バッシングや悪質クレーマー呼ばわ…
日本で車椅子利用者バッシングや悪質クレーマー呼ばわりがなくならない理由
現在の社会は健常者を基準につくられている。そのせいで障害者に負担をかけているので、社会の様々な場所にある「障害(バリア)」を取り除く「バリアフリー」を行わなければならない。これが「社会モデル」の考え方となる。
障害の「社会モデル」への無理解
障害の「社会モデル」の考え方に基づけば、事業者にバリアフリーを要求する障害者を、悪質なクレーマーと同一視してはいけないことがわかる。たとえその当事者の性格が好ましいものではないとしても、段差のような、障害者にとっての障害を設けた責任は事業者の側にあるのは事実であり、事業者はその解消に取り組む必要がある。もちろん文句を言ったとして、直ちに解消できるような障害ばかりではないのは事実だ。しかし少なくとも、中嶋氏がされたような門前払いが許されることにはならない。たとえば車椅子対応を可能にするためのスタッフ研修やマニュアルづくり、あるいはポータブルスロープの導入などは検討されてよいはずだ。
問題なのは、内閣府の『障害者白書』をはじめとして、日本のバリアフリー政策が障害の「社会モデル」の採用のもとに進められているにもかかわらず、社会における一般的な認識では、いまだ障害の「個人モデル」が中心になっていることだろう。障害者の「個人モデル」から「社会モデル」への転換は、障害の問題についての大きなパラダイムシフトだ。政府の担当者や当事者だけではなく、事業者やその他の健常者も含めてこれが共有されていなければ、様々な軋轢を起こしかねない。国はいっそうの情報発信につとめるとともに、頻発する障害者バッシングへの対応も検討する必要があるだろう。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
岸田から次期総裁への置き土産「憲法改正」は総選挙に向けた「裏金問題」隠しか 2024.09.11
人道支援団体を根拠なく攻撃してなぜか儲かる「誹謗中傷ビジネス」 2024.07.29
都知事選、蓮舫候補の「二重国籍」問題の事実関係を改めて検証する 2024.06.20
政治資金改革を時間稼ぎの「政局的な話」としか考えていない自民党 2024.05.17
「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令 2024.04.23
『オッペンハイマー』:被爆者イメージと向き合えなかった「加害者」 2024.04.11
日本で車椅子利用者バッシングや悪質クレーマー呼ばわりがなくならない理由 2024.03.27