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入管法「改正」案、成立すれば日本は極右の理想郷になる?
2015年のシリア難民危機でドイツは人道上の理由で大量の難民を受け入れたが、混乱も大きく、メルケル首相は政策の失敗を表明せざるをえなくなった。しかしそれとは別に、ドイツは毎年数万人の難民を受け入れている。問題になったのは、シリアから十万単位で来るイレギュラーな難民なのであった。欧州の国々では、一定の難民を受け入れる理念を共有したうえで、その量についての議論が行われている。そこで難民受け入れを最も拒否する人々は極右と呼ばれるが、たとえばフランスの国民党のように、ヨーロッパの極右が理想としているのは日本の入管法なのだ。
2011年、ノルウェーで排外主義的動機から連続テロ事件を起こして77人を殺害したアンネシュ・ベーリング・ブレイビクは、多文化主義に否定的な理想国家として日本と韓国をあげている。もし今回、日本の入管法がさらに改悪されるなら、日本は欧米の極右にとっての理想国家どころか、王道楽土といってよいかもしれない。
入管における人権侵害
難民認定の過剰な少なさだけではない。日本の入管制度は特に人権侵害が酷いことで知られている。法案の審議では、3月に名古屋入管に収容されていたスリランカ出身の女性が亡くなったが、体調が著しく悪化していたにもかかわらず、満足な医療行為を受けさせなかった入管の対応が問題視されている。
入管では、1997年から数えて20人の収容者が死亡している。2020年11月にはインドネシア出身の男性が死亡したばかりだ。個別のケースをみると、今回の事件と同じように、明らかに入管の不作為によって死亡した収容者も多い。たとえば2014年には同じスリランカ出身の男性が、意識不明の状態で発見され、死亡した。彼はその直前に体調不良を訴えたにもかかわらず医師の診察を受けられていなかった。
入国管理局では狭い部屋に何人も押し込められ、満足な運動もさせてもらえず、食事も劣悪ということで、体調を崩す者が多発している。完全に病気になってしまった場合は仮放免されるが、治療費は自己負担であり、保険に入ることもできないため十分な医療にかかることができない人も多い。
収容が一時的に停止される仮放免はなかなか許可がおりることはない。またおりたとしても、就労できないなどの大きな制限があり、NPO・NGOなどの支援によって最低限生きながらえることしかできない。しかも入管の恣意的な判断で、突如として再収用される可能性もある。
入管が収容者を人間とみなしていないことを証明するエピソードとしては、2011年の東日本大震災があげられる。当時は東京でも震度5強の地震が発生したが、そのとき東京入管は収容者を部屋に押し込め鍵をかけたのだ。
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