コラム

フォロワー数の少ない人を見よ。誰も知らないSNSの意外な活用法

2023年01月27日(金)10時45分
藤野英人

「お金のまなびば!」より

<ひふみシリーズの藤野英人氏は、正しい投資判断をするために「フォロワー数が10名、15名くらいの人に注目している」という。そこには、驚きのSNS活用法があった>

個人間の交流だけでなく、商品・サービスの認知やブランディングなど、ビジネスシーンでの活用も当たり前になったSNS。

世の中の関心は「有名インフルエンサーの投稿」や「どうすれば再生回数が伸びるか」といったことに向けられがちだが、なかには一風変わった使い方をする人もいるようで――。

それが「フォロワー数が10名、15名くらいの人に注目している」と語るひふみシリーズの最高投資責任者、藤野英人氏だ。

藤野氏はレオス・キャピタルワークスのYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」の動画「【売れるサービスを見極める】投資のプロの驚きのSNS活用術」で、SNSは世の中の人の価値観を知るのにうってつけのツールと紹介している。

なぜならSNSは実に多くの人々の生活に溶け込んでいるため、普段自分が付き合わない属性の人の生々しい話を聞くこともできるからだ。

「例えば、釧路市に住む漁師の妻や、結婚を機に東京から山梨県に引っ越すも、離婚したシングルマザーの投稿。あまり自分と接点がなさそうな、全然知らない人をランダムにフォローして見ている」

と藤野氏は言う。

「全く知らない人の投稿を読んで面白いのだろうか」と思った人も多いかもしれない。だが藤野氏は、彼女たちが何を感じ、何に対して喜び、怒るのかを窺い知ることで、人の喜怒哀楽を感覚的に理解する習慣をつけているそうだ。

「SNSは自分に近しい属性の人が集まるメディア。でも、自分と似た人としか付き合わないと、本当の世の中のことは分からない。重要な情報を取るための基本的な視点を確保する、つまり世の中の人はどういうことを感じるのかという感覚を養うことが大切。彼ら・彼女らが何を語るかはもちろん、何を語らないのかも重要なメッセージになる」

なかでも、「突然誰かが怒鳴り込んできたとしても『面白い人だな』と思う」ほど怒りを感じることが少ない藤野氏にとって、人が何を言うと怒るかを認識することは大事だという。

「僕からするとちっぽけなことでも、その人にとってはメンツや生き方、人生の問題。正しいとか、正しくないではない。人の怒りや苦痛、感情を理解すれば理解するほど、売れる商品やサービスが感覚で分かるようになる。人それぞれの価値観を見極めることが大切だ」

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story