コラム

笑顔と経済の密接な関係 マクドナルドが実践する「0円の投資」とは?

2021年11月25日(木)16時15分
鴨頭嘉人

「お金のまなびば!」より

<元マクドナルド店長の鴨頭嘉人氏は、1回300万円もの講演を年間330回行うという講演家。「作り笑顔にこそ価値がある」と言うが、笑顔は何を生み出すのか>

鴨頭嘉人氏は、ハンバーガーチェーン大手マクドナルドの元店長。32歳のときに最優秀店長として表彰された実績を活かし、1回300万円もの講演を年間330回行うという売れっ子のYouTube講演家だ。

ひふみ投信シリーズのファンドマネージャー、藤野英人氏との対談で、2人は「笑顔と経済」について語り合った( YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」より)。

マクドナルドと言えば「スマイル0円」の広告がおなじみだが、鴨頭氏は「改めて考えるとすごい広告。『笑顔』という、本当はとても価値のあるものを初めて世に知らしめた」と評する。

鴨頭氏によると、全店同一のメニューやシステムを確立するマクドナルドにおいて、「店員がどれだけイキイキと働いているか」は各店舗の売り上げと密接に結びつくことがデータに表れている。

このことから、店長の仕事の中で最も評価されるのは「スタッフの笑顔を作れる店長かどうか」。アルバイトスタッフの笑顔を引き出す方法は大きく2種類に分かれるそうだ。

ひとつは、笑顔を強要する方法。もうひとつは、店長自身が笑顔で「おはよう」「頑張っているね」などの声掛けを行う方法だ。前者はますますスタッフの顔が引きつる悪循環に陥るが、後者は店長からスタッフ、顧客へとさらに笑顔が広まっていくという好循環を生み出す。

顧客の店やスタッフに対する信頼が積み重なることで、店の評価や売り上げが向上し、その結果、店長も評価されて年収がアップする。サービス業だけでなく、すべての業界において、人の心を明るくする行動は経済を好転させる力を秘めているというわけだ。

鴨頭氏はこのことを「笑顔のペイフォワード(ある人物から受けた親切を、また別の人物への新しい親切でつなぐこと)」と表現した。

fujino20211125-kamogashira-2B.jpg

「お金のまなびば!」より

「感じがいい人」は、誰が見ても感じがいい

藤野氏によると、あるコンビニチェーンの覆面調査には、「店員の笑顔は素敵か」という項目があった。素敵かどうかは調査員の主観によるのではないか......と疑問に思って尋ねると、「実はこれが売り上げに最も比例しているんです」との答えが返ってきたそうだ。藤野氏は言う。

「『感じがいい人』は、誰から見ても感じがいい。主観的だが、実はバラつきが少ない要素だ」

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上

ワールド

ガザ支援搬入認めるようイスラエル首相に要請=トラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story