エンジェル投資をする会社の基準は「応援したい」と「応援できる」
自分が理解できない会社への投資はただのギャンブル
藤野氏自身も、ファンドマネージャーから経営者になったことで経営者に対する尊敬の念が増したというが、当然起業はメリットばかりではない。
「起業しないほうがよい理由も100言えるので、起業したい人から相談を受けたら全力で止める話をする。それで辞めるなら、そのほうが相手のためになるから。でも、損得感情抜きで『やりたい』という力は誰にも止められない」
そんなエネルギーに満ちた起業家たちに数多く出会う藤野氏だが、エンジェル投資(創業後間もない企業への資金援助)をする会社には、明確な2つの基準があるという。
「1つは、応援したい会社・人であること。自分自身が好きであり、共感できるビジネスや経営者のことで、当然『儲かりそう』も大事。儲からないと思っていたら相手にも失礼だから」
もう1つは、応援できる会社・人であること。ポイントは、その会社の経営者が急病などにより数カ月休んだとき、代わりにその会社を守れる自信があるかどうかだという。
「顧客や仕入先、株主、リスクのイメージが湧かないと社長はできないので、自分がその会社のことを理解していることが大事。理解・関与できない会社に投資するのはただのギャンブル。その会社が危なくなったとき、指を加えてただ見ているだけになってしまう」
起業も投資も、本質は「人を幸せにすること」にある。社会全体の幸福度が上がらないと、リターンは返ってこないからだ。これを理解できるか否かで、起業や投資の成功確率が決まる。
構成・酒井理恵
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