コラム

ザッカーバーグ受賞にツイッタラティ憤然

2010年12月16日(木)14時29分

ハイテクおたくたちに「古い」と皮肉られるフェースブック創業者

3年前の人? ツイッターに集うハイテクおたくたちに「古い」と皮肉られる
フェースブック創業者 Robert Galbraith-Reuters

cleardot.gif

 ツイッター上のつぶやきから判断する限り、2010年の「今年の人」にフェースブックの創業者マーク・ザッカーバーグを選んだタイム誌は、ネット社会全体を敵に回すことに成功したようだ。

 大西洋単独横断飛行を初めて成功させたチャールズ・リンドバーグ(当時25歳)に次いで若いザッカーバーグ(26歳)を今年「最も社会に影響を与えた人物」に選んだ同誌の論拠はこうだ。「5億人以上の人々を結びつけ、彼らの間に社会的つながりを描き出し、情報交換の新たなシステムを作り出すことで、私たちの生き方そのものを変えた」

 こんな根拠では、テクノロジーに敏感で高慢ちきなツイッタラティどもを鎮めることはできないだろう。ツイッタラティのツイートといえば、例えばこんな調子。「タイムは今日、『2007年の今年の人』を選んだらしいよ」。

 皮肉は別としても、この選択のどこが2010年的なのかは不明のまま。フェースブックがブームを巻き起こしたのは何年も前の話だし、今はどちらかというと落ち目になり始めたところかもしれない。

■タイム誌はアサンジにびびった?

 まあそれでも、今年の人は「あなたたちです!」と言われた2006年よりはましだと思う。フェースブックやウィキペディア、ユーチューブ、マイスペース(覚えてる?)やセカンドライフ(覚えてる?)などが全盛だった時代。いわゆる「ウェブ2.0」と呼ばれるソーシャルメディアの担い手として、「私たち」が選ばれた。

 06年も今年も、タイム誌は「今年の人」選考にあたって読者の投票を募った。そしてこれも06年と同じなのだが、読者投票の結果は結局、無視した。06年に読者が選んだのはベネズエラのチャベス大統領だった。そして今年圧倒的大差で1位に選ばれたのは、機密暴露で脚光を浴びたウィキリークスの創設者、ジュリアン・アサンジだった。

 タイム誌がアサンジを「今年の人」に選ばなかったのは、臆病風に吹かれたからではないか、という議論に火がつくのは間違いない。さらにウィキリークスを支持するハッカー集団「アノニマス(匿名)」が、タイム誌のサーバーに報復攻撃を仕掛けたりして。

 いずれにせよ、タイム誌は議論を歓迎するだろう。論争ほど売れるコンテンツはないのだから。

──ブレイク・ハウンシェル
[米国東部時間2010年12月15日(水)9時22分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 16/12/2010. © 2010 by The Washington Post Company.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story