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コラム
ForeignPolicy.com 外交エディター24時
ユキオ、君は一体何者だったの
Pete Souza-The White House
"Yukio, we hardly knew ye"──アメリカ人は、鳩山由紀夫に同情すべきなのだろうか。
日本の鳩山首相は、就任後失態続きの挙げ句にたった8カ月で退陣し、やはり1年以内に退陣に追い込まれた安倍晋三、福田康夫、麻生太郎らと同じ不名誉リストに加わった。
鳩山政治は、目を疑うほどの迷走続きだった。なかでも目立つのは、どっちつかずで何カ月も引っ張った米軍普天間飛行場の移設問題。結局鳩山は5月末、06年の日米合意に戻り、国民はまさかと思っていた沖縄県名護市辺野古への方針を決定した。
日本政治研究者のトバイアス・ハリスが書いているように、「首相就任後の9カ月、彼は自ら選んだ閣僚の長としても、民主党の代表としても、日本の指導者としても失敗した。普天間問題では、ああでもないこうでもないと周囲を振り回した挙げ句、いちばん反対の大きい案を採用した。国民にはその選択肢のメリットも説明されなかった」
これでは厳しい。
米政府でも、鳩山のために涙を流す人はいなそうだ。ワシントンの究極の情報通アル・カメンは4月、ワシントン・ポスト紙のコラムで鳩山を「loopy(愚か者)」と酷評した。日本の平野博文官房長官からは「一国の首相に対し、いささか非礼だ」という哀れな抗議を、鳩山自身からは「私は愚かな総理かもしれない」と自虐的過ぎる切り返しを受けたが、このコラムは多くの米政府関係者の気持ちを代弁していた。
■日本を植民地のように扱った
だが、アメリカの主要な同盟国に対する扱いとして適当だったと言えるだろうか。問題は、米メディアのなかに匿名の鳩山批判があふれていたことだけではない。4月の核安全保障サミットでは、オバマ大統領自らが日本を鼻であしらった。アルメニアやカザフスタン、マレーシアや南アフリカの首脳とは会うのに、日米首脳会談には時間を割かなかったのだ。
昨年10月にロバート・ゲーツ国防長官が訪日したときは、彼は普天間問題に関して一歩も譲らないばかりか、鳩山のメンツを救う提案さえ出さなかった。ゲーツは日本に向かう機上で現行の日米政府間合意の履行を求め、「他に選択肢はない」と言い切った。アジアの戦略パラダイムを考え直すという鳩山の曖昧な話に耳を貸す忍耐はゲーツにはなく、日本のメディアはゲーツを激しく攻撃した。
アメリカの外交官が鳩山を好きでなかったのは理解できる。彼はどう見ても、首相の器ではなかった。だが長い時間が経って鳩山が忘れ去られた後はどうなるか。多くの日本人は、日本がアメリカから植民地のような扱いを受けたことしか思いださないのではないか。
──ブレイク・ハウンシェル
[米国東部時間2010年06月02日(水)12時27分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 3/6/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
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