コラム

新型インフル、怪し過ぎる中国製ワクチン

2009年09月10日(木)14時06分

 中国の国家食品薬品監督管理局は国産の新型インフルエンザ(H1N1型)用ワクチンを世界で初めて認可し、年末までに人口の5%に予防接種を行う計画を発表した。一部の専門家は不信を隠せない。


 このワクチンには、身体がワクチンに反応して抗体を作る作用を促進する特別な成分、アジュバントが含まれていない。しかもそれを1回しか投与しない方法が、2回投与する場合ほど効くのか疑問だ。

「アジュバント抜きの1回投与というのは考えにくい」と、ハーバード大学公衆衛生学大学院のバリー・ブルーム元学部長は言う。「治験から得た私の理解では、アジュバント抜きのワクチンで十分な免疫反応を得るには、2回以上の投与が必要だ」

 ワクチンを製造した北京科興のIR責任者ヘレン・ヤンは、治験には3~60歳以上までの1614人が参加したと言う。

 だが、アジュバントの専門家であるスタンフォード大学医学大学院のデービッド・ルイス教授は、あらゆる年齢層を一緒くたにした治験の信頼性に疑問を呈する。


 WHO(世界保健機関)はまた、中国の予防接種の規模に懸念を示した。「大規模な予防接種を行った場合、はるかに小さな規模で行われた治験では表面化しなかった副作用が出る可能性がある」

 中国がワクチン製造にこぎつけたスピードと、中国産の成分を使った医薬品で死者も出ている過去を考え合わせると、私なら予防接種より新型インフルエンザにかかるほうを選ぶ。

──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2009年09月09日(水)12時51分更新]

Reprinted with permission from "FP Passport", 9/9/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

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国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

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