コラム

アメリカでウォッチすべき先端メディアサイト・リスト

2015年06月25日(木)11時24分

 しばらく前からジャーナリズムの衰退が報じられているが、アメリカのインターネット・メディアを見る限り、メディアサイトの数は増え続けているようだ。新聞や雑誌の数はどんどん減っている一方で、毎年のように新しいメディアのサイトが生まれて、それが人気を得ている。

 たとえば、よく知られたサイトで比較的新しいものを挙げただけでも、バズフィード(BuzzFeed)、クォーツ(Quarz)、ミディウム(Medium)、フュージョン(Fusion)などがあり、いくつかのメディアサイトをまとめあげたメディア会社にはヴォックス(Vox Media)などがある。ヴォックスは、テクノロジー・ニュースのザ・ヴァージ(The Verge)や食関連のイーター(Eater)などを擁し、最近はウォールストリート・ジャーナル出身の有名なジャーナリストらが運営していたリコード(Re/Code)を買収した。ニューヨークタイムズでデータを駆使したユニークなセクションを担当していたエズラ・クラインのファイブサーティエイト(FiveThirtyEight)は、ESPNに買収された。

 日本でも知られるハフィントン・ポストやマッシャブル(Mashable)、ゴーカー・メディア(Gawker Media)などは、もう古参の部類になる。これ以外に、テクノロジー専門のサイトはもう数えきれないほど多くて密集しており、その中でもパンド・デイリー(Pando Daily)が派手で目立っている。

 それぞれに面白いので、できるだけ目を通したいと思うのだが、はっきり言ってすでにそんなことは不可能になっている。これらサイトに挙げられているコンテンツの量は、ニュースと言えども、もはや1人の人間が1日で読める量をはるかに超えているのだ。

 これだけの数のサイトに直面したわれわれ読者も大変なことだが、サイトを運営する側もすさまじい競争を行っている。ここに挙げた以外にも無数のサイトが日々生まれては消えているので、名前が知られるようになるにはそれなりのアピールが必要だ。

 たとえば、内容が特異。例としてはファイブサーティエイトが含まれるだろう。最初はスポーツから始まったが、今ではさまざまな事象やニュースを統計や数字によって解き明かしていくアプローチは、他にはなかなか真似できない。

■究極の武器は独自開発のテクノロジー

 あるいは、このサイトをとりあえず見ておけば、世の中で起こっているだいたいのことは把握できるだろうという安心感を与えるもの。ハフィントン・ポストやバズフィード、マッシャブルなどがこれにあたる。その中でも、ゴシップっぽい香り付けがあったり(ハフィントン)、政治からオバカな話題まで実に懐深く取り上げたり(バズフィード)、真面目っぽく誠実(マッシャブル)といったニュアンスの違いはある。

プロフィール

瀧口範子

フリーランスの編集者・ジャーナリスト。シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、政治、文化、社会一般に関する記事を新聞、雑誌に幅広く寄稿する。著書に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか? 世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』、『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』、訳書に『ソフトウェアの達人たち: 認知科学からのアプローチ(テリー・ウィノグラード編著)』などがある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story