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大人になった僕は「冒険の書」に固定観念を揺さぶられた

パックン(パトリック・ハーラン)が選ぶ「僕に夢と冒険を教えてくれた3冊」

2016年03月15日(火)06時13分
パックン(パトリック・ハーラン)

自称・国際人の僕が定期的に読み直す1冊


(写真は上巻)

 僕の夢はなんだろう? 考えてみたら、目指しているのは冒険家、国際人、面白い人だということに気づいた。ここで「国際人」の心理的な土台作りにとても役立つ本を紹介しよう。『銃・病原菌・鉄』(ジャレド・ダイアモンド著、邦訳・草思社)だ。

 僕ら欧米人の多くは潜在意識の中で「自国が先進国になったのは、自分たちの能力や道徳、努力のおかげだ。国力や経済力は国民の優越さを証明している」と勘違いしているようだ。この本は人類の発展を追いながら、現状の国々の優劣関係の背景にある地理的、歴史的なファクターを明かし、"先進国"が世界のトップに立っていることの偶然性を訴える。国境を越えて有意義かつ公平な関係を築くには、無根拠な優越感を捨てることが必要不可欠だ。その教訓を忘れないように、自称・国際人の僕は定期的にこの本を読み直している。

僕のあこがれる「ブライソン・スタイル」の超傑作


(写真は上巻)

 オーストラリアの旅行記『In a Sunburned Country』(Broadway Books、邦訳未完)に出合ったときから、ビル・ブライソンの本にかなりはまっている。彼は旅行のほか、科学や言語、歴史、異文化などなど様々なテーマに挑戦しているが、どんな題材をも徹底的に研究して楽しく伝える天才的なノンフィクション作家だ。

 数々の作品の中でも、この『人類が知っていることすべての短い歴史』(邦訳・新潮社)は超傑作。自然史、科学史を網羅する、笑いながら勉強になる1冊だ。「宇宙はどうやって誕生した?」から「ダニがどれぐらい自分の枕の中に棲んでいるのか?」まで、多くの気になる疑問に答えてくれる。これを読めばサイエンス嫌いでも好きになるはず。

 僕はテレビに出ているときも、連載や本を書いているときも、笑わせながら伝える「ブライソン・スタイル」に常にあこがれているのだ。

pakkun_profile.jpgパックン(パトリック・ハーラン)
1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)を4月に出版。
パックン所属事務所公式サイト

※パックンの本誌ウェブコラム「パックンのちょっとマジメな話」

●この記事は「特別企画 Book Lover's Library」のために書かれました。Book Lover's Libraryは、amazon.co.jpとの特別企画です。

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