Marina Komrakova-iStock
※第5回 「パワーポイントは要らない」? 文系のプレゼンテーション方法に驚くも「言葉」に納得した理由 から続く。
サントリー文化財団が編集する論壇誌『アステイオン』では、いわゆる理系・文系とが相互の研究室を訪問し、その源流を辿ることによって、それぞれの文化の融解を狙う連載企画「超えるのではなく辿る、二つの文化」を掲載している。
98号本誌掲載「納得の文系に説得の理系」のスピンオフとして、研究室の訪問レポートを写真とともに紹介する。第6回目の訪問先は三谷宗一郎氏(甲南大学法学部准教授)。
実験系の理系の場合、学生や研究員が何か作業をするときには、必ず研究室に在室していることになる。また、実験を一人でしていると何か事故があったときに助ける人がいなくて困ることもあり、うちの研究室では(うち以外の研究室でも)時間外の実験を推奨していない。
そのため、平日の昼の建物内には常に人がおり、廊下からは学生たちや出入りの業者の挨拶の声が聞こえるし、研究室内ではディスカッションや雑談もその場で発生するため、にぎやかさがある。
何か面白いことを見つけたとき、私は研究室にいる人に、こんなことがあったとすぐに楽しさを共有するし、うまくいかないことがあればやはり悲しみを笑い話として表す。
学生も何かあればその場で教えてくれる。研究上の大発見でなくとも、ちょっとした気づきなどのレベルであってもである。研究室に一人閉じこもって孤独に実験をする研究者像は、実験系の理系では、このように実はあまり一般的ではないと思っている。
一方、文系の学生はゼミなどで時間を決めて集まるが、常に教員の研究室周辺にいるわけではない。教員自体、自宅で研究環境が整っていたら、講義以外で大学に来る必要性もないという話も聞く。
そんな中、文系研究者は何か知った時の喜びをどのように処理しているのだろうかと、素朴な疑問が出てきた。
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