ちなみにわたしは、鳥井信吾氏の論考が印象に残った。サントリー文化財団の理事長らしく、酒の神秘とその研究の見聞を語るものだが、どれだけの科学的分析を以てしても、酒の熟成、その「肌ざわり」は解明されない、ゆえにAIによる再現は不可能だという。一日のゴールのようなウイスキーの香りには100年後も人為が及ばないと聞くと、どこか安心する。
堀江 秀史(ほりえ ひでふみ)
東京大学大学院総合文化研究科助教
2016年度、2017年度鳥井フェロー
『アステイオン91』
サントリー文化財団・アステイオン編集委員会 編
CCCメディアハウス 発行
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