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日本

「災後」の酒場から「災後」の文明を想う

2014年04月16日(水)
御厨 貴(東京大学先端科学技術研究センター名誉教授)

我らの成果は、『「災後」の文明』(阪急コミュニケーションズ)一冊に止まらぬ。3月21日夜10時から、NHK BS 1の1時間もののスペシャル番組として映像化され放映される。さらに5月26日午後、国際文化会館にて、「公開フォーラム」の形で、研究会メンバーと新たな幅広の関係者との間で、さらなる白熱した議論が期待されている。このように、あの手この手で迫るのにはワケがある。

ほら、よく言われるではないか。「新しい酒を古い革袋に盛る」と、中身も形も双方ともダメになると。「災後」への様々な試みを、「戦後」の使い古した器に入れたのでは、これまでと同じように何も変わらず、いやむしろ朽ち果ててしまう恐れがあるだろう。だから「災後」のリアリティを充分に味わうためにこそ、新しい手段を必要とするのだ。

「災後」の酒場の光景は、いつしか「災後」の精神を貫く研究会の成果への想いに連なっていた。少々モルツを飲みすぎたか。飛行機のプレミアムクラスと見まごうばかりのグランクラスのシートに体を埋めながら、いささか酔いのまわった頭をもたげるや、終着駅東京にまもなく到着するとのいつもながらの車内放送が、ハッと我に返らせてくれた。

御厨 貴(みくりや たかし)
東京大学先端科学技術研究センター名誉教授

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