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熱傷に神経麻痺、視力障害も... 人気美容メニュー「HIFU」の事故増加と装置の開発史
現在は、HIFUの医療用途は前立腺がんが主要ターゲットです。もともとはアメリカで92年に前立腺肥大症(良性腫瘍)の治療に使われ始め、日本でも内田豊昭医師(現・東海大医学部客員教授)らが93年に導入しました。しかし、再発しやすいことがネックでした。
前立腺肥大症の治療には100℃以上で焼く必要がありますが、がん細胞は65℃で数秒焼けば死滅することに着目した内田医師は、99年に世界に先駆けて前立腺がん(悪性腫瘍)にHIFU施術を取り入れました。
がん治療では、照射温度は低くて済むものの、がん細胞周辺の広範囲に照射しなければならないため、治療時間が長くなります。最初の前立腺がんのHIFU施術は約9時間かかったそうですが、メーカーと二人三脚で機器の性能を上げることで時間は短縮され、今では早ければ約1時間で終了するようになりました。
①切らない治療で高齢者でも体にかかる負担が少ない、②放射線治療と異なり、短期間でも繰り返し行える、③手技が簡単で泌尿器科医の知識があれば比較的短期間で習得できる、などの利点から、今日、前立腺がんのHIFU治療は世界で採用されるようになりました。ただし、日本では現在、保険適用外なので、治療費が高額になってしまうデメリットがあります。
現在、日本に出回っている美容用HIFUでは、FDA(米食品医薬品局)の承認を得たウルセラ(ulthera、商品名)は安全面での信頼性が高いとされています。施術の効果には個人差がありますが、医師によって正しく使われる限りは事故の可能性は低い機種と言えるのかもしれません。
もっとも、美容クリニックやエステを訪れなくても、ネット通販サイトには個人で購入できるHIFUが多数出回っています。なかには医療用と遜色のない出力を持つものもあります。法に触れるわけではなく自己責任で使えるとは言え、購入や利用をする時は事故情報などもしっかりと集めてから決断してください。

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