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熱傷に神経麻痺、視力障害も... 人気美容メニュー「HIFU」の事故増加と装置の開発史
90年代から医療的に注目を集めるようになり、21世紀になって美容医療に登場(写真はイメージです) MBLifestyle-shutterstock
<美容効果が期待されると人気を集める反面、後遺症被害も報告されている「HIFU施術」。その危険性とは? 美容医療とエステの線引き、開発の経緯とともに紹介する>
使用すると小顔になったりシワやたるみを取ったりする美容効果が期待できると人気の「HIFU(ハイフ)施術」で後遺症被害が相次いでいることを受け、国の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は3月末に報告書をまとめました。
HIFUはHigh Intensity Focused Ultrasoundの略称で、「高密度焦点式超音波」の意味です。日本では1990年代よりがんの治療など医療で使用されてきましたが、超音波を照射して筋膜を加熱すると引き締め効果が見込めるとうたわれて、近年は美容目的での利用が広がっています。
消費者事故調の報告書によると、HIFU施術の事故は2015年に初めて事故情報データバンクに登録されて以来、22年までに135件発生しました。顔の事故が 70%を占め、1カ月以上完治しない熱傷や神経の麻痺、視力障害などの深刻な被害もあります。特に21年以降は2年間で74件と急増しています。
美容目的のHIFU 施術には、美容クリニックで医師が実施するもの、エステティックサロン(エステ)でエステティシャンが取り扱うもののほか、店舗に置かれたHIFU機器を借りて利⽤者本人が利用するセルフエステなどがあります。
HIFU施術は医師以外が行っても良いのでしょうか。そもそも、どのような経緯でこの機器は開発されたのでしょうか。美容医療とエステの線引きやHIFUの開発史について深掘りしてみましょう。
法規制も安全基準もなし
今回の報告書では、HIFU施術による事故の発生場所が、美容クリニックの23%に対して、エステは71%であったことが特に問題視されています。
エステは、美顔、痩身、脱毛など全身美容に関するサービスを提供する施設です。02年に総務省が定めた「日本標準産業分類」では、「手技又は化粧品・機器等を用いて、人の皮膚を美化し、体型を整える等の指導又は施術を行う事業所をいう」と定められています。
医療機関である美容クリニックとエステは似た目的の施術をする場合がありますが、通常はできる範囲に明確な線引きがあります。たとえば痩身を目的とした脂肪吸引手術は医療機関しかできませんし、脱毛の場合でもエステでは高出力のレーザー装置の使用が規制されています。
対して、HIFUは施術や機器に関する法規制はなく、厚生労働省などによって定められた安全基準もありません。
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