ドイツの街角から
2022年ドイツ統一記念日の祝典開催地エアフルトを訪ねる その1
2022年10月3日、東西ドイツ統一記念日を迎えます。今年の統一祝典はテューリンゲン州の州都エアフルトで開催されます。9月中旬、32回目の祝典行事を紹介する記者会見に参席する機会をいただき、エアフルトへ向かいました。その時の様子を2回にわたりお伝えします。(画像はすべて筆者撮影)
東西ドイツ統一記念日の公式祝典行事とは?
1991年以降、10月3日のドイツ統一記念日には、ドイツ連邦16州の1州がホストとなり祝典を開催しています。現在連邦参議院の議長を務めている州、つまり2022年の公式行事はテューリンゲン州エアフルトで行われます。
ちなみに統一記念公式行事は、21年にはザクセン・アンハルト州、23年にはハンブルク(州)というように、毎年担当州が異なります。(参考までに。ハンブルクは、市であると同時に州でもある)
東西ドイツを分断していたベルリンの壁が崩壊したのは1989年11月9日。その翌年の1990年10月3日に東西ドイツは再統一され、統一記念日としてドイツ国民の祝日となっています。
今年は、週末10月1日(土)から3日(月)にかけて、エアフルト市の中心部と大聖堂近郊のペータースべルク周辺で統一を祝う市民祭が予定されています。
ラメロウ州首相とエアフルト市長の記者会見
テューリンゲン州の州首相ボド・ラメロウ大臣兼連邦評議会議長は9月中旬、エアフルト市長アンドレアス・バウゼヴァイン氏とともに・ぺータースベルク城塞ビジネスセンターで記者会見を行い、今年のドイツ統一記念日のプログラムや活動を紹介しました。
ライメロウ州首相(画像)は次のようにコメントしました。
「今年はドイツ統一後30年以上にわたって連邦制を強固なものにしてきた多様性を持つテューリンゲン州をエアフルトで体感し、祝うことができます。同州は、再統一の機会を得て、エネルギーと楽観性をもって急成長したサクセスストーリーを生み出しています。
と同時に、文化とイノベーションの特別な組み合わせが魅力となっている州でもあります。何世紀にもわたって形成されてきた出来事のいくつかは現在に至るまで貴重な歴史の遺産として残っています。今年の統一記念行事は、ボランティア160名の協力を得て開催される予定です。エアフルトへようこそ、祝典行事をとても楽しみにしています」
また、エアフルト生まれのバウゼヴァイン市長(画像)は、次のように語りました。
「統一前のエアフルトは一言でいえば灰色だった。第二世界大戦時、被害を受けた旧市街は、東西再統一後に目覚ましい発展を遂げており、この街を大変誇らしく思います。15年程前(同氏の市長就任は2006年)は、非常に失業者が多かった(約16%)。しかし現在6%程に減少しました。まだまだ改善の余地があるとは言え、かつては考えられなかったほどの経済急成長を遂げています。統一記念祭では、エアフルトの発展を見ていただき、皆に楽しんでもらいたい」
記者会見の終わりに、デモについての質問が上がりました。エアフルトでは、数か月前から毎週月曜日に州・連邦政府のコロナ政策に反対するデモが行われていて、統一の日10月3日が月曜日にあたります。
さらに最近は主に連邦政府のウクライナ政策や危機管理政策、インフレに対して抗議するデモも行われており、バウゼヴァイン市長も統一記念式典の周辺でのデモを予想していることを明かしました。
ラメロウ州首相は、デモが禁止されることはないと強調しました。
今年のモットーは?
著者プロフィール
- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko