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Hiroshi Shibata|ウクライナ

ウクライナのクリスマス ‐ ロシア正教会からの独立とコロナ 柴田裕史

ウクライナの首都キエフのクリスマスツリー (853994688-iStock)

雨氷のため大規模な路面凍結が発生し人がツルツル滑っている映像がTwitter上でバズり続けているキエフよりウクライナのクリスマスについての記事をお届けします。下記参照:

ウクライナのクリスマスは世界でも希有です。なぜならウクライナには年に2度クリスマスがあるからです。どうしてこんなことになったのでしょう?理由のひとつは2018年12月15日に発足した「ウクライナ独立正教会」にあります。

ソ連時代にモスクワ総主教庁を本部とする「ロシア正教会」のもと、ソ連成立以前に成立していたウクライナ独立正教会は厳しく弾圧を受けロシア正教会へと統合されます。ソ連崩壊後のウクライナ独立後もウクライナではロシア正教会が実質国教となっていましたが2014年のロシアのクリミア併合、東部のドネツク、ルハンツク侵攻などで独立の動きが出てきました。そして2019年1月5日にコンスタンティノープル総主教庁においてウクライナ独立正教会の地位を確認するトモスが署名されコンスタンチノープル総主教のバルトロメオ1世がエピファニウス1世のキエフ府主教としての地位を正式に認めました。

↓キエフ総主教エピファニウス1世との謁見時のスナップ(2019年撮影)

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ロシア正教会のクリスマスはユリウス暦を採用しているため、1月7日に祝うのが定番ですが世界のほとんどの地域のクリスマスは現在の西暦、グレゴリオ暦の12月25日です。キリスト教徒が少ない日本でもクリスマスイブは12月24日、25日にクリスマスという認識が一般化しています。新生ウクライナ独立正教会では「現状は1月7日にクリスマスを祝っても良いが、将来的にカトリックと同じく12月25日にクリスマスを祝うことに関する議論を始めるべきだ」としています。しかしウクライナには過去何十年も1月7日にクリスマスを祝ってきた伝統がある為、そう簡単には変えられないのです。よって「移行期間」としての意味合いもあり現状2つのクリスマスを祝うことにしているのです。実はウクライナが12月25日にクリスマスを祝い始めたのは2017年頃だそうで、ウクライナの国家としての「ロシアとの離反」「EUとの接近」を象徴した政治的な要素も関係していると言われています。

Profile

著者プロフィール
Hiroshi Shibata

Ago-ra IT Consulting及びEE Technologies代表、ITウクライナ協会日本市場担当、日宇複数企業の顧問、代表を兼務。米国、豪州の大学を卒業後、欧米の外資系金融3社のテクノロジー部でアルゴリズム取引開発に10年以上従事。'02年の学生時代に創業。'16年に欧州へ拠点 を移す。世界8か国に在住経験あり。現在キエフにて日本企業向けオフショア開発コンサル業および現地IT企業の日本向けマーケティングを支援。妻はウクライナ人。

Twitter: @agoraitconsulti

Youtube: https://www.youtube.com/channel/UCg2ls_3N96MCtF3z9dYYpIw

note: https://note.com/hiroshishibata

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