サッカーを食べ、サッカーを飲み、サッカーと寝る国より
オリンピック?今、それどころではないブラジル事情
◉急増するブラジル国内のCovid-19ウイルスへの感染、死亡
遂に1日当たりの死亡者数が3,500人を超える日が続く様になった。
10日で35,000人。
考えたくもないが、日本の小さな町がそっくりそのままいなくなる計算になる。
第1波と呼ばれる2020年の5月、6月の感染拡大ピークから、第2波が年末年始に到来。
それが落ち着き、規制も解除され人々がホッとしていたところに感染力の強い変異株を持ったウイルスが現れた。
この変異株は、ブラジル北部のアマゾナス州の州都マナウスと呼ばれる地域から始まり、感染が拡大したと言われている。
マナウスでは、今年の2月から3月にかけ、病院に運び込まれる患者があまりにも増えた為、供給する酸素が足りなくなり工場等で使用する業務用酸素も使用される事態となった。
マナウスはフリーゾーン(税制優遇等)の為、日系企業の工場が多くある。
業務用酸素の不足事態に、工場の稼働を止めざるをえなかった企業もある。
2020年3月末、第1波により始まったブラジルでのロックダウン。
そこから公園やショッピングセンター等が再開し、人々の生活が少し戻り始めたのが8月であった。
感染流行から収束(完全ではない)まで5ヶ月以上かかっている。
その為、1年経ってまた元のスタート(ロックダウン)に戻ってしまった事に、多くのブラジル人が落胆を感じているだろう。
またあの生活が始まるのか...。
規制だらけで自由がなかったあの頃に...。
但し、医学的には今回の流行に関してが収束は早いとされている。
発生から感染拡大のピークが早くくればくるほど、ピーク期間、そして収束期間が短くなるのだ。
徐々に感染者が増えピーク期間が長く続いた第1波と異なり、今回の波はイタリアでの感染拡大に似ていると言われ、感染最盛期のスタートから沈静化まで約8週間と予想されている。
筆者の住むここサンパウロ市(サンパウロ州)は感染拡大が現在4週目に入っているので、5月には死亡者数の減少となって表れるだろうとの事である。
ブラジルはよく無策、ノーコントロールと揶揄されるが、保健省や医療機関の分析は良くできていて、第1波の収束予想も第2波到来予想も時期、規模共に予想値範囲内であった。ブラジル人の生活環境や文化的に日本と同じ様な形での対策ができないだけである。
今回の感染拡大で心配されているのは、急激な患者増による医療崩壊である。
元々医療施設が貧弱であった地方の州は既に始まっている場所もある。
医療品、医療設備が充分整っている大都市サンパウロでも、公立の病院は医療崩壊が起きると言われている。
実は心配されているのは呼吸器系専門医と看護師の不足の方である。
設備は既に閉鎖した野外病院の再開設や、緊急を要さない手術の患者の後回し等で、受け入れ準備はなんとかなりそうな目処はついている。
ただそれらを扱える人がいないのだ。
現場で働いている医療機関の方も必死に対応されている。
4月11日まで延期された緊急事態フェーズによるロックダウンの効果が早く出る事を期待したい。
(日本国領事館によるサンパウロ州政府からの発表要約)
3月11日、サンパウロ州政府は記者会見を実施し、同州経済活動再開計画(Plano SP)について、現在のフェーズ1(赤)よりさらに厳しい制限措置(緊急事態フェーズ)を導入することを発表しました。同会見内容の概要は以下のとおりです。
1 ICU病床占有率がSP州大都市圏でも87.6%(入院者数は9000人超え)を記録し、死者数も前週比12%増を記録するなど、新型コロナウイルスの感染状況は、昨年3月以来、最も厳しい状態にあります。この状況に鑑み、Plano SPに緊急事態フェーズ(Fase emergencial)が導入されます。
2 緊急事態フェーズの適用は3月15日から3月30日までです。 ※4月11日まで延長済み
3 同フェーズにおいては午後20時から翌朝5時までの間、外出禁止措置(toque de recolher)が実施されます。
4 緊急事態フェーズでは、必要不可欠ではないサービスにはフェーズ1(赤)の制限が維持されますが、現在許可されている商業サービスに対してもいくつかの制限が課されます。具体例としては、バール、レストラン等店舗内における客への対面での食事の受け渡しは禁止されます。これらの商品の受け渡し方法は午前5時から午後20時までの間のデリバリーかドライブスルー式のみになります。スーパーではこの認められた時間内で、通常の形式での営業が認められます。また、教会等宗教施設における集団での宗教行事や、グループでのスポーツ活動も禁止されます。
5 州立学校は基本的には真に必要な対応を除いては閉鎖されます(閉鎖期間に連休などの祝日を前倒しして充てる。)。教材配布や日々の食事を給食に頼っている等の特に必要性のある生徒への対応は認められます。私立学校についても同様の努力が求められます。
6 官民問わず、必要不可欠ではない事務作業についてはテレワークでの対応が義務になります。
著者プロフィール
- 古庄亨
ブラジル・サンパウロ在住。日本・ブラジル・タイの3ヶ国で、2010年までフットサル選手としてプレー。2011年より5年間、都内スポーツマネージメント会社勤務。2016年ブラジルに渡り翌年現地にて起業。サッカーを中心にスポーツ・教育関連事業で活動中。
Webサイト: アレグリアスポーツアカデミー・サンパウロ
Twitter: @toru_furusho