サッカーを食べ、サッカーを飲み、サッカーと寝る国より
2020年シーズンが終了したブラジルサッカー②
◉リオの強豪・フラメンゴの2連覇
2月25日(木)を以って、 ブラジル全国選手権セリエAの全日程が終了した。
コロナ禍の影響で通常の3月から4ヶ月遅れで始まったシーズン。
各州選手権、ブラジルカップ、コパ・リベルタドーレス、 そして全国選手権。
各チーム、 ほぼ週2試合の間隔で慌ただしいシーズンだったに違いない。
そうした中で、昨年2位に勝ち点16差をつけ、
2連覇を達成した。
選手から圧倒的な信頼を得ていたポルトガル人のジョルジェ・ ジェズスがチームを去り、
選手から圧倒的な信頼を得ていたポルトガル人のジョルジェ・
ポルトガル人のジョルジェ・ジュズス監督が去り、 新たな監督を迎えての新体制。
今年の優勝は本当に苦しんだ。 結果がついてこずにシーズン途中での監督交代もあった。
今年の優勝は本当に苦しんだ。
勝ち点でいえば、昨年は勝ち点90、今年は勝ち点72である。
単純比較はできないが、昨年の3位のチームより勝ち点が低い。
勝ち点が割れ、どのチームにも優勝するチャンスがあったのだ。
優勝も最終節までもつれ、 勝たなければ相手チームの結果次第では優勝できない可能性もあっ た。
優勝も最終節までもつれ、
ところが、最終節はサンパウロに敗戦。
同時刻に行われている2位のインテル・
インテルはコリンチャンスとの試合のアディショナルタイムにゴー ルを決め、逆転優勝かとなったが、
VRでも確認されオフサイドなり、ゴールが無効。
その後も、
最後の最後まで優勝がどちらに転ぶか分からなかった。
◉リオ州の名門ボタフォゴ、ヴァスコの2部降格
フラメンゴが2連覇、フルミネンセが5位と上位でコパ・ リベルタドーレス出場権を獲得する一方で、同じリオ・デ・ジャネイロに本拠地を置く、名門ボタフォゴ、 ヴァスコ・ダ・ガマの来期セリエBへの降格が決まった。
ボタフォゴは本田圭佑選手が在籍した事で、 日本の方にも馴染みがあるだろう。
5勝21敗12分で勝ち点27とリーグ唯一の勝ち点20台と断ト ツの最下位である。
スポーツの世界でタラレバは良くないが、 シーズン序盤に勝ちを挟んで引き分がかなり続いた時期があったの だが、
そこの引き分けで何試合か勝てていればと思わざるを得ない。
楽に降格圏から脱出できていただろう。
逆にいえば、そこを勝たせる為に本田選手は呼ばれたのであって、 シーズン途中の退団とチーム降格に関しては寂しい限りである。
ヴァスコも同じである。
このチームは筆者が応援しているチームではあるのだが、 序盤に首位に立った事もあり、スタートは好調であった。
格上相手にもミラクルな勝ち方を重ねていて、 勢いが無くなっても何とか中位には残ってくれるものだと思ってい た。
しかし、現実は厳しかった。
格下相手に連敗を重ね、一気に順位を下げまさかの降格圏内。
降格ライバルチームとの直接対決も全敗し、 残念ながら来期はセリエBを戦う事になった。
何とか1年での復帰を期待したい。
サッカーキング-YouTube
◉国内トップレベルのサッカーが見れない
3月に各州で選手権が開始された直後、ブラジルでコロナ感染者が 急増。
ロックダウンとなり、この国からサッカーが消えた。
昨年3月のロックダウン時には、スタジアムが野外病院になり、 チーム活動も休止、
一般の人々は外出禁止となり、 サッカーを観ることもプレーする事も無くなってしまった。
そこから徐々にではあるが、チーム活動が再開し、
サッカーファンとしては、ホッと胸を撫で下ろしながら、 スタジアム観戦は無理とはいえ、テレビで沢山サッカーを観戦しようと 思っていた。
ところがである。
このサッカーが見れなくなるという事態が発生してしまった。
ブラジルの殆どの家庭が、 無料で見られる地上波チャンネルに加え、 何かしらのネット回線を使用したケーブルテレビに加入している。
ブラジルの殆どの家庭が、
ここで映画や音楽、スポーツなどの専門チャンネルを観るのだ。
この専門チャンネルは有料となっている。
有料ではあるが、国内リーグや欧州各国のリーグの試合も視聴する事ができ、チャンネル数も200を超えており、それなりの満足度があった。
今年は何とこの有料チャンネルでサッカーが視聴できなくなったのである。
正確には、ブラジル国内リーグ・セリエAの試合が視聴できなくなってしまった。
正確には、ブラジル国内リーグ・セリエAの試合が視聴できなくなってしまった。
スポーツチャンネルにはSPORTVやBAND、ESPN、 FoxSportsなどある。
主にブラジル国内リーグの試合はSPORTVで放映していた。
だが今年は、SPORTV PREMIEREチャンネルなるものができ、 試合を観戦する為には更に追加料金が必要になったのtだ。
有料に加えて更に有料である。
これまでのチャンネルはどうなったかと言うと、 何と同時刻に行われるセリエBの試合や過去のセリエAの試合を流 しているのだ。
これにはサッカー好きのブラジル人が大激怒し、 SNSにおいてクレームの嵐であった。
ボタフォゴの本田選手の加入もあり、私も何とか試合を見れないものかと、あの手、 この手でネットの動画チャンネル等も探しに探したのだが、
PREMIREチャンネルの設置は、原因はテレビ局にお金が無くなった為で放映権料の支払いができな いからだと言われている。
この対応には少なからず驚いてしまった。
コロナ禍の影響によるものだとは分かっているが、少し寂しい。
ブラジルでのサッカーの立ち位置がこれまでと変わり始める予兆なのだろうか。
これにはサッカー好きのブラジル人が大激怒し、
ボタフォゴの本田選手の加入もあり、私も何とか試合を見れないものかと、あの手、
毎試合それをするのも大変になり、 シーズン終盤は国内リーグの試合を観る機会が減ってしまった。
PREMIREチャンネルの設置は、原因はテレビ局にお金が無くなった為で放映権料の支払いができな
象徴的だったのは、ワールド杯予選の中継である。
アゥェーでの試合とはいえ、地上波、有料チャンネル( プレミアム除く)でさえ視聴する事ができなかった。
この対応には少なからず驚いてしまった。
何よりもサッカーを優先する国。
その国の代表の試合をアゥエーとはいえTVで観戦する事ができなかった。
その国の代表の試合をアゥエーとはいえTVで観戦する事ができなかった。
TV局もよほど深刻な経済状況にあるのだと感じた。
◉サッカーと情熱の国にも変化が...。
そういえば、 今シーズンはブラジル人との会話でサッカーの話をする事が少なか った。
タクシーに乗ってもラジオで流している人も少ない。
規制の影響もあるがバールで試合を観ながら騒いでいる人達も少なかった。
おきまりの試合中のゴールに歓喜する花火も殆ど聞こえなかった。
住んでいる地域(クラブのお膝元) によっては熱狂的なサポーターもいて、お決まりのシーンに出くわす事もあるのだろう。
ただ、ここ日本人が多く住む居住区(比較的に富裕層が多い)ではほぼ無かった。
ただ、ここ日本人が多く住む居住区(比較的に富裕層が多い)ではほぼ無かった。
コロナ禍の影響によるものだとは分かっているが、少し寂しい。
一旦変わってしまった生活スタイルが元に戻るのは難しいのではと個人的に感じている。
サッカーを特に観なくても良いと感じてしまう一定数の層が出始めたのではないだろうか。
他国からバカみたいだと思われてもいい。
他国からバカみたいだと思われてもいい。
やはりこの国にはずっとサッカーに対して熱くあって欲しい。
ブラジルでのサッカーの立ち位置がこれまでと変わり始める予兆なのだろうか。
そうでない事を願いたい。
著者プロフィール
- 古庄亨
ブラジル・サンパウロ在住。日本・ブラジル・タイの3ヶ国で、2010年までフットサル選手としてプレー。2011年より5年間、都内スポーツマネージメント会社勤務。2016年ブラジルに渡り翌年現地にて起業。サッカーを中心にスポーツ・教育関連事業で活動中。
Webサイト: アレグリアスポーツアカデミー・サンパウロ
Twitter: @toru_furusho