サッカーを食べ、サッカーを飲み、サッカーと寝る国より
2020年シーズンが終了したブラジルサッカー①
◉コパ・リベルタドーレスを制覇したSEパルメイラス
ブラジル全国選手権と同等の注目を集める、コパ・リベルタドーレス。
クラブチームの南米チャンピオンを決める歴史ある大会である。
2019年大会は、ブラジル・リオの名門、CRフラメンゴが国内リーグとの2冠を達成した。
コロナ禍の影響で、延期による大幅なスケジュール変更を余儀なくされていた2020年大会。
決勝はブラジル・サンパウロ州の強豪同士の顔合わせとなり、
『SEパルメイラス』と『サントスFC』の対戦となった。
ブラジル国内の試合は未だ無観客で開催されているが、この試合に限っては、4日以内にPCR検査を受けて陰性だったサポーターが2,500名限定で観戦を許された。
1vs1の攻防の多い激しい肉弾戦となったが、試合終了間際に決勝点を奪った『SEパルメイラス』が優勝した。
ベンチ前付近でのスローインのイザコザから『サントスFC』の監督が退場となったこの場面。
そのリスタートからのセンタリングが決勝点となった。それまで集中していた『サントスFC』の守備ラインが、ベンチや退場してスタンドに上がった監督の動向に気を取られて隙ができてしまった。
(YouTube/南米サッカー連盟_リベルタドーレスチャンネル)
1999年の優勝以来、21年振りに南米チャンピオンとなったパルメイラス。
大会が終わって1ヶ月後にはクラブワールドカップに乗り込んだ。
◉クラブW杯でパルメイラスが犯した大失態
ヨーロッパチャンピオン・バイエルンとどんな試合をするか。
大方の予想では、決勝は欧州と南米の代表チーム同士のカードだったはずである。
今大会、パルメイラスの選手・サポーターにとっても並々ならぬ決意があった。
今大会、パルメイラスの選手・サポーターにとっても並々ならぬ決意があった。
その理由、パルメイラスの悲願とは...。
パルメイラスを含めた、サンパウロの4大クラブ。
SCコリンチャンス、サンパウロFC、サントスFC。
この4つのチームの中で唯一、世界一になった事のないのが実はパルメイスなのである。
クラブワールドカップの前身、トヨタカップやインターコンチネンタルカップ。
クラブワールドカップの前身、トヨタカップやインターコンチネンタルカップ。
この大会で他の3チーム全てが優勝している。
サンパウロFC 3回 (1992,1993,2005)
サントスFC 3回 (1962,1963)
SCコリンチャンス 2回(2000、2012)
相手チームを小馬鹿にする野次を飛ばし、笑い者にするブラジル人サポーターにとって、
この事実は格好のネタになるのである。
どれだけ国内で優勝しようと、南米で優勝しようと、
自分達だけが世界一になった事がないという事実がある限り、馬鹿にされ続ける。
汚名挽回の絶好の機会となるこの大会。
だが、蓋を開けて見ると信じられない結果となってしまった。
まさかの緒戦・準決勝での敗退。
そして、3位決定戦でも敗戦。
南米代表がクラブワールドカップにおいて、3位以内に入れなかった事はない。
南米代表がクラブワールドカップにおいて、3位以内に入れなかった事はない。
サンパウロのパルメイラスサポーターは失望し、悲しみ、怒りを露わにした。
この敗戦を受けての他のクラブのサポーター達の騒ぎっぷりがすごかった。
特にSNSでは格好のネタになってしまった。
南米勢初となる3位以内からの転落。
そしてそれ以上にネタにされてしまったのが、2試合無得点という事である。
99年の対マンチェスター・ユナイテッドとの試合でも無得点。
つまり、パルメイラスは世界大会でゴールを奪った事がないのである。
サッカーにおいてのブラジル人の統計力は凄まじいものである。
そしてその統計を一部の人ではなく、サポーターの殆どが、優勝回数や、年、成績などを事細かに覚えている。
この世界大会で3試合無得点という結果をに対して、SNSでは様々なパロディ画像が出ていたので紹介したい。
いつも見ていて本当に感心させられる。
(他チームサポーターTwitter_世界大会の決勝に進んだ数、チャンピオンになった数、ゴールの数)
(サンパウロFCサポーターTwitter_世界大会でライーが2ゴール、アモローゾが2ゴール、ゼニが1ゴール、パルメイラスが0ゴール)
コパ・リベルタドーレス決勝から約1ヶ月。
優勝直後には街中で多くのパルメイラスを着て歩いている人がいたが、
クラブワールドカップ後にパッタリといなくなってしまった...。
贔屓のチームが勝った負けたで生活習慣を変えなければいけないブラジル。
そんな様子を見ながら、この時はクスッと笑っていたのだが国内リーグでは笑えない事が起きてしまった...(続く)
著者プロフィール
- 古庄亨
ブラジル・サンパウロ在住。日本・ブラジル・タイの3ヶ国で、2010年までフットサル選手としてプレー。2011年より5年間、都内スポーツマネージメント会社勤務。2016年ブラジルに渡り翌年現地にて起業。サッカーを中心にスポーツ・教育関連事業で活動中。
Webサイト: アレグリアスポーツアカデミー・サンパウロ
Twitter: @toru_furusho