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サッカーを食べ、サッカーを飲み、サッカーと寝る国より

古庄亨|ブラジル

クリスマスを迎えるブラジルのコロナ禍②

再びロックダウンか...。

まだ正式発表はされていないが、巷では実しやかに囁かれ始めている。

ブラジルのコロナ禍は他国のそれよりワンテンポ遅くやってくる。
アジア地域で始まり、ヨーロッパに蔓延し、最後に南米大陸にやってきた。
その為、対策等も各地域の対応やその結果を見てから、策が練られる事が多い。

ポルトガルと宗主国、従属国であった歴史的背景からも特にヨーロッパの考え方や様式を取り入れている。これはコロナ禍だけでなく、文化、法律、制度、生活様式など多くの分野がヨーロッパ式と考えて良い。

ブラジル現大統領はミニトランプと呼ばれており、日本ではブラジルは国全体がアメリカを向いていると思われるかもしれないが、大統領の下にも州知事や市長がそれぞれ強大な権限を持っており、全ての意見が通っている訳ではなく、基本的にはヨーロッパベースである。



そのヨーロッパで経済活動、社会活動を再開した事で第二波が始まり、感染者が増え再びロックダウンや再規制となった国が多くでた。
ブラジルも一旦収束へ向かい始めた為、10月、11月から徐々に会社や学校が再開され始め、街中にも人が増え、人々の行動範囲も広くなった。
国外旅行をする人はまだ少ないが、逆に国内旅行、特に山や川、自然豊かなファゼンダ(農園)などへ車で移動し、羽を伸ばすスタイルに人気が集中している。

そしてブラジルといえば、やはり海。
こちらも週末は人がごった返す様になって来た。
人の往来があり、交流が増えると、残念ながら感染のリスクが上がるのは先に再開したヨーロッパを見ていて予想される。

実効再生算数が1を切り、感染者が減少し続けていたが、久々に1を超えた。
少し気をつけなければいけない。

増え始めた一番の原因は、富裕層のパーティだとも言われている。
ブラジル人は大人数でのパーティーが大好きで、誕生や特別なイベントでなくても、週末に友人や同僚を呼んでシュハスコと呼ばれるバーベキューパーティーを行う。そこでお酒を飲み、ダンスを踊り、会話や食事を楽しむ。

元来人と会話し騒ぐのが大好きなお祭り好きな国民性である。
3月から続いた規制が半年以上経ち、少しずつ解除され始めるとやはり我慢できずに人が集まる様になってきた。


◉いつロックダウンするのか

第1波の経験からいくと、直ぐにロックダウンした方が良いのではないのか。
そういった考えになるのだが、そこは安易にそうならない。

現在行われている選挙が関係しているのだ。
丁度11月に州知事、全国の市長の挙が行われている。
規制が解除されつつあり、歓喜している人々に対して、選挙公約で直ぐにロックダウンしますというと、不平不満が出て自身の票に影響が出るのは目に見えている。

サンパウロでは3月にボルソナール大統領が経済を回せといって大批判を浴び、ロックダウンを継続させるといった州知事、市長が大喝采を浴びたにも関わらず、数ヶ月で早く経済を再開させろという声が大きくなり、ブーメランの様に州知事、市長が批判の対象になってしまう事があった。

その苦い思い出があるので、今回の選挙のタイミングでは今後の規制については多くを語られず、再規制も発表されていない。
とりわけ、年末年始のカウントダウン、そしてブラジルの象徴のサンバカーニバルが、それぞれ中止、延期となっているのだ。

メインのイベントが相次いで開催されない状況の中で、クリスマスくらいは何としてもお祝いさせて欲しいというのは、多くの人々の思いでもあるのだろう。


◉通常のクリスマス

毎年クリスマスになると、ショッピングセンターや街角に大きなツリーが飾られる。
ブラジルではショッピングセンターの中に実際のサンタクロースがおり、一緒に会話をしてお願い事をしたり、写真を撮ったりするアトラクションが子供から大人まで人気があり、この時期は長蛇の列ができる。

今年はどうかというと、アトラクション自体は開催しているが、マスクやフェイスシールドを使用していたり、バーチャルで画面上で姿を見せ会話をするショッピングもあり、クリスマス情緒というかメルヘンな感じが消え、仕方が無いとはいえ個人的には残念である。



話を聞くと、今年はサンタクロースが来れないと心配している子供も多い様だ。

従来は家族や恋人、友人達が一同に集まって食事をしたりパーティーをして祈りを捧げるなど、何かと盛り上がるが、今年は派手にはやれないからせめて飾り付けだけでも楽しもうとクリスマス関連グッズの需要は好調なようだ。

しかし、コロナ禍の影響はここにも出ており、作り手がいない、原料が用意できない等の理由で
欠品の物も多いそうだ。
今年は何から何までウイルスに振り回されている。

明日からいよいよ12月。
選挙結果、感染拡大状況次第で、どう転ぶか分からないクリスマスになりそうである。

 

Profile

著者プロフィール
古庄亨

ブラジル・サンパウロ在住。日本・ブラジル・タイの3ヶ国で、2010年までフットサル選手としてプレー。2011年より5年間、都内スポーツマネージメント会社勤務。2016年ブラジルに渡り翌年現地にて起業。サッカーを中心にスポーツ・教育関連事業で活動中。

Webサイト: アレグリアスポーツアカデミー・サンパウロ

Twitter: @toru_furusho

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