「アイマスクをつけて寝ると、こんな効果が!」......記憶力や注意力が高まる、との研究結果
睡眠時のアイマスクの装着は、認知機能の向上につながる...... Anciens Huang-shutterstock
<英カーディフ大学らの研究チームは、遮光性のあるアイマスクを就寝中に装着すると記憶力や注意力にどのような影響を及ぼすのかを調べた......>
睡眠は注意力や記憶の定着に不可欠だが、環境光は睡眠構造やタイミングに影響を及ぼすおそれがある。このほど、睡眠時にアイマスクを装着して遮光すると、翌朝の記憶力や注意力が向上する可能性があることがわかった。
アイマスクを装着すると記憶力や注意力にどんな影響があるのか
英カーディフ大学らの研究チームは、18~35歳の成人を対象に2種類の実験を行い、遮光性のあるアイマスクを就寝中に装着すると記憶力や注意力にどのような影響を及ぼすのかを調べた。これらの実験結果をまとめた研究論文は2022年12月15日付の学術雑誌「スリープ」で掲載されている。
最初の実験では、89人を対象に、1週間にわたって就寝時にアイマスクを装着させた後、さらに1週間、遮光しない環境で就寝する対照実験を実施した。それぞれの実験の6日目と7日目の午前8~10時に「対連合学習(PAL)」、「精神運動覚醒検査(PVT)」、「運動スキル学習(MSL)」という3種類の認知タスクを行った結果、アイマスクを装着して就寝したほうが記憶力に優れ、反応も速かった。
「睡眠時のアイマスクの装着は、認知機能の向上につながる」
33人を対象とした次の実験では、就寝時にアイマスクとウェアラブル脳波計を装着させるとともに、照度計を与えて枕元に置かせ、毎朝起きたらすぐに照度を報告するよう指示した。
実験の1日目の就寝時に通常のアイマスクを装着し、2日目には目の部分に穴を開けたアイマスクを装着して実験環境に慣れさせた後、4日目と5日目の午前8~10時に「対連合学習」と「精神運動覚醒検査」を行った。
その結果、最初の実験と同様に、通常のアイマスクをしたほうが記憶力が高かった。また、ウェアラブル脳波計によって記録された3日目と4日目の睡眠を分析したところ、アイマスクの装着と徐波睡眠(深い睡眠)の増加に関連性が認められた。
これらの実験結果をふまえて、研究論文では「睡眠時のアイマスクの装着は、認知機能の向上につながり、日常生活にも相応の影響をもたらしうる効果的かつ経済的で、身体にも負担を与えない行動といえる」と結論づけている。