最新記事

新型コロナウイルス

新型コロナウイルス、急拡大の背景に排泄物を介した「糞口感染」の可能性も

Coronavirus May Be Spreading So Fast Because of Fecal Transmission

2020年2月21日(金)14時55分
カシュミラ・ガンダー

「口腔と肛門から採取した検体、および血液サンプルから、ウイルスが検出された。つまり新型コロナウイルスは、呼吸や糞便、体液を介して感染する可能性があるということだ」と研究者たちは書いている。

さらに19日には、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された論説の中で、「糞便を介した感染の可能性を提起した」1月下旬の研究報告が紹介された。

この研究報告は、論文審査を受けていない原稿の段階で論文サイトbioRxivが発表した。新型コロナウイルスの感染が急速に拡大するなか、専門家たちがいちはやく論文原稿を読んで新たな所見について議論できるようにするためだ。

研究チームは、感染者の体の複数カ所から検体を採取して、ウイルスが細胞に入り込むのを手助けする酵素が活発かどうかを分析した。その結果、この酵素が肺だけでなく消化器官にもあることが分かった。このことは、COVID-19が消化器官に潜んでいる可能性もあることを示していると彼らは指摘した。

COVID-19が排泄物を介して広まる可能性について懸念が高まったきっかけは、香港で同じマンションの別々の階に住む2人(2人の部屋は10階も離れている)の感染が確認されたことだった。2003年のSARS流行時にも同じようなことがあり、この時は香港にある集合住宅の入居者329人が劣悪な配管を通じて感染し、42人が死亡した。香港当局は、建物の条件やウイルスの性質が異なるためSARSの時と今回のケースを比べることはできないと指摘。その後、ほかの住民101人から採取したサンプルの検査を行ったところ、いずれも陰性だったと声明を出した。

<参考記事>新型コロナウイルスがアパートの配管を通じて空気感染?(香港)

20200225issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月25日号(2月18日発売)は「上級国民論」特集。ズルする奴らが罪を免れている――。ネットを越え渦巻く人々の怒り。「上級国民」の正体とは? 「特権階級」は本当にいるのか?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、シカゴ・ロス・ポートランドから州兵撤退

ビジネス

米国株式市場=続落、25年は主要3指数2桁上昇 3

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、年間では2017年以来の大

ワールド

ゼレンスキー氏「ぜい弱な和平合意に署名せず」、新年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中