最新記事

中国共産党

習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想とは?

2017年10月23日(月)08時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

第19回党大会で3時間24分の演説をした習近平総書記 Aly Song-REUTERS

10月18日、第19回党大会の開幕演説で習近平総書記は「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を強調した。これが24日に発表される党規約に加筆される「習近平思想」の表現となるだろう。約3時間半にわたる演説から読み解く。

開幕演説で最も頻繁に使った言葉

10月18日、5年に一回開催される第19回党大会(中国共産党第19回全国代表大会)が開催された。習近平総書記は、2012年11月から始まった第18回党大会以来の5年間にわたる成果に関する党活動報告演説を行なった。

なんとその時間、3時間24分!

途中で居眠りする人やあくびをする人まで現れて、筆者自身、最後まで聞き遂げるのに、かなりの努力を要した。

大あくびをしたのは江沢民で、中央テレビ局CCTVは、そのあくび顔をクローズアップした。演説を終えて席に戻った習近平に対して、腕時計を示しながら「長かったね」とでも言っているようなしぐさをしたのは胡錦濤(前総書記)。CCTVはその二人の姿もズームアップしたが、二人とも照れたように、にこやかに笑顔を交わした。

5年前の2012年11月8日に、第18回党大会で総書記として最後の党活動報告をした胡錦濤の演説時間は1時間40だったからだ。その前の2007年(第17回党大会)は2時間30分。

未だかつて、3時間を越える演説は聞いたことがない。

その間、最も出現頻度が高かった言葉は「新時代の中国の特色ある社会主義思想(中国語では新時代中国特色社会主義思想)」だ。次に多かったのが「中華民族の偉大なる復興」と「中国の夢」。

午前中の習近平演説が終わると、それぞれの党代表は各地域の代表団の討論の場に姿を現す。そこで特徴的だったのが、すべての現役チャイナ・セブン(中共中央政治局常務委員会委員)が参加した代表団(分科会)討論で約束していたように一律に使った言葉が「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想(中国語で習近平新時代中国特色社会主義思想)」だ。

それを皮切りに、約2300名の代表の中から何人かを選んでCCTVがインタビューを行なっているが、これが口を揃えたように一斉に「習近平新時代中国特色社会主義思想」と回答するのである。また分科会における討議で何名かの発言者の姿をCCTVは映しだしたが、その発言者も必ず「習近平新時代中国特色社会主義思想」というフレーズを挟むことを忘れていない。

これらの現象から、党規約に新しく加筆される「習近平思想」とは「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」だということがほぼ確実であろうことが判断される。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

次期FRB議長の条件は即座の利下げ支持=トランプ大

ビジネス

食品価格上昇や円安、インフレ期待への影響を注視=日

ビジネス

グーグル、EUが独禁法調査へ AI学習のコンテンツ

ワールド

トランプ氏支持率41%に上昇、共和党員が生活費対応
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 9
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 10
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中