最新記事

テクノロジー

ロシア初の人型ロボットは2丁拳銃使い

2017年4月20日(木)16時20分
トム・オコーナー

ロシア版ターミネーター? Russian Army/YOUTUBE

<拳銃を撃つだけでなく、都市での自律的な移動や自動車の運転、特殊な道具の操作、応急手当などもできるという>

ロシアの技術系企業と軍事研究所が手を組み、人間のように銃を操るロボットを開発した。開発者たちは、このロボットを宇宙に送る計画だ。

FEDOR(フョードル、Final Experimental Demonstration Object Research:「最終実験実証物体研究」の略)と呼ばれるこの未来的な拳銃使いは、もともとはロシア企業アンドロイド・テクニクスと、政府機関のロシア発展的研究基金により、捜索や救助といった任務を念頭に開発された。ロシア政府の要請で実施されているプロジェクトで、ロシア初の「人型ロボット」をめざしている。

【参考記事】ロシア警察、人型ロボットを逮捕?

「戦争用ではない」

ロシア発展的研究基金のアンドレイ・グリゴリエフ総裁は先週、ロシア国営のRIAノボースチ通信社に対し、「FEDORは、救出作戦のように危険の大きい分野で人間の代わりになるアンドロイドとして設計されている。その目的を達成するには、都市環境での自律的な活動や移動、自動車の運転、特殊な道具の操作、応急手当などのアクションを教える必要があった」と語った。


FEDORは、ロシアのドミトリー・ロゴジン副首相の称賛を浴びた。ロゴジンはツイートで、このロボットの「判断力と運動能力」を褒め称え、ロシアは「ターミネーターではなく、さまざまな分野で実用的な意義を持つ人工知能を開発している」と述べた。翌日には、FEDORが2丁の拳銃を両手に持ち、標的を撃つ様子を映した動画をシェアしている。

腕立て伏せも

FEDORの能力は、2丁の拳銃を撃つだけにとどまらない。高度なプログラミングにより、自動車の運転操縦などの複雑なタスクや、腕立て伏せなど、さまざまなフィットネスエクササイズもこなす。

ロシア政府は、このロボットを宇宙に送る計画を立てている。オーストラリア「ナイン・ニュース」の報道によれば、2021年にロシアの宇宙船「フェデラーツィヤ」の唯一の乗員として乗り込む予定だという。

【参考記事】【セックスロボット】数年以内に「初体験の相手」となるリスク、英科学者が警鐘

だが、まだ改良も必要だ。ロシア発展的研究基金は先週、ロシア教育科学省と共同でコンテストを開催すると発表した。同基金のグリゴリエフによれば、このコンテストの目的は、FEDOR用のハイテクソフトウェアを開発する能力を持つプログラマーを見つけること。ロシアの大学生、大学院生、研究者、大学教授、制作チームが参加できるこのコンテストは、5月からスタートし、2018年2月28日まで続く見込みだ。

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米相互関税は世界に悪影響、交渉で一部解決も=ECB

ワールド

ミャンマー地震、死者2886人 内戦が救助の妨げに

ワールド

ロシアがウクライナに無人機攻撃、1人死亡 エネ施設

ワールド

中国軍が東シナ海で実弾射撃訓練、空母も参加 台湾に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中