最新記事

天皇

悠仁親王が日本最後の天皇? 急がれる皇位継承改革

2016年10月18日(火)10時23分

秋篠宮夫妻に悠仁親王が誕生したことで改正案が提出されることはなかったが、それはただ問題を先送りにしたにすぎなかった。

天皇陛下の孫は悠仁親王のほか、同親王の20代の2人の姉、眞子内親王と佳子内親王、そして皇太子の一人娘で今年15歳になる愛子内親王がいるが、現行法では女性は結婚を機に民間人となるので、悠仁親王は最後の皇位継承者というだけでなく、唯一の皇室メンバーとなる可能性がある。

ある時点で大手術が必要となると語るのは、関東学院大学の君塚直隆教授。バンドエイドでの応急処置では対応できないところまで来ているとの見方を示した。

保守派は、解決策として宮家の皇籍復帰を支持している。

日本大学法学部の百地章教授は、男系男子のみの継承について、先祖によって受け継がれてきた伝統はとても重要だと考えていると述べた。

だが女性の社会参画を促進するための政策を打ち出している安倍首相は、宮家の皇籍復帰を強く主張できない可能性がある。自民党の二階俊博幹事長は8月、「時代の流れとともに、女性尊重の時代に天皇陛下だけはそうではないというのはおかしい」と語っている。

民主党の野田佳彦幹事長(前首相)も今月に入り、朝日新聞とのインタビューで、「皇族が減少していくことも、ご心労の一つだと思う」と指摘。「典範改正も視野に入れた議論もあってしかるべきだ」と述べ、政府が検討する特例法ではなく、皇室典範改正案をまとめる考えを示した。

「安倍首相はリアリストだ」と、前述のベテラン記者は指摘する。「何も手を打たなければ皇室が絶えてしまうのは明らかなので、首相が何もしないというのは考えられない」と語った。

(Linda Sieg記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)



[東京 14日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中