最新記事

AI

カスタマーサポートでチャットボットの普及が見込まれる理由

2016年8月8日(月)17時20分
Team Nelco(Nissho Electronics USA)

画像はzopim.comのサイトより

<メッセンジャー上で会話しながら相手のニーズを解決する「人工知能対話ロボット」のチャットボットが大きく注目されている。特に、カスタマーサポートの分野では相性がよさそうだ>

 Facebookは2016年のF8カンファレンスでFacebook Messenger ボットを大々的に発表しました。Facebook Messenger ボットの他にも、Skype、Line、Kik、Telegramが同様のボットを発表しており、ボットへの注目度が急速に高まっています。

 先日の記事、なぜ「ボット」は最も注目すべきトレンドなのか?でもご紹介したように、レストラン推薦、Eコマース、パーソナルアシスタントなどの様々なチャットボットが注目されています。ただ、まだまだチャットボットを使っている人は一部で、普及には時間がかかるでしょう。

 チャットボットの中で、比較的早い段階で普及が見込まれるものの1つがカスタマーサポートです。2016年4月には、人工知能のカスタマーサポートプラットフォームを開発するDigitalGeniusが410万ドル(約4億円)を調達しました。今回はなぜカスタマーサポートとチャットボットが相性が良いかをご紹介します。

chatbot.jpg

チャットボットによるカスタマーザポート photo by DigitalGenius

カスタマーサポートで普及が見込まれる理由

 なぜカスタマーサポートで普及が見込まれるのでしょうか?実は、チャットボットは、まだまだ会話の精度は高くありません。チャットボットは人工知能を使って人間が書いたないようにを理解し、最適な返答をします。しかし、現状では、人間と自由に楽しく会話したり、人間が書いた内容をすべて正しく理解することは難しいです。これはいくつかチャットボットを試してみればすぐに分かります。

 Facebookや、アメリカで若者に人気があるKik、高いセキュリティが特徴のTelegram、企業向けのSlackなど、世界中の有力チャットアプリの多くが、チャットボットのストアを公開しています。また、Lineもストアの開設を予定しているようです。しかし、まだまだ、ユーザーが本当に使いたいと思うチャットボットや利用シーンは少なく、日々使いなれたアプリやWebサービスを使うのをやめてチャットボットを使い始めることはあまり考えられません。チャットボットはすぐには普及しないと考えられます。それでは、なぜカスタマーサポートが、チャットボットの中で比較的早い段階で普及する可能性があるのでしょうか?

理由1. 利用シーンが限られている

 まず、カスタマーサポートは、その企業の製品やサービスに対する問い合わせに答えるため、シーンが限られていることが挙げられます。チャットボットは、自由になんでも話すものを作るのは大変です。例えば、友達と話すように、映画、スポーツ、知り合いの噂話などのするのは、会話パターンが複雑です。このため、利用シーンが限られており、会話の目的が明確で、会話がパターン化されているものの方が早く実用段階になります。

 カスタマーサポートは、利用シーンと会話の目的が明確なため、チャットボットを作りやすいのです。 チャットボットを作ろうとすると、まず大変なのが、会話のパターンの洗い出しです。ユーザーが話す内容に応じて、ストーリーが分岐していきますが、これが膨大になると、チャットボットを作るのは大変な作業になります。カスタマーサポートはパターンが限られていることと、すでにマニュアルでパターンが洗い出されている場合が多いため、チャットボットを作りやすい特徴があります。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザでの戦争犯罪

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、予

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッカーファンに...フセイン皇太子がインスタで披露
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 5
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 6
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中