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ドイツドイツ地方選の投票始まる、メルケル首相の移民政策への民意は?
世論調査ではメルケル自身の支持率は高まるも、首相率いるCDUは2州で苦戦
3月10日、ドイツのメルケル首相は、13日に投票される国内3州の選挙で大きな試練に直面している。結果次第では自らの基盤を弱め、政治生命を賭ける移民政策が足元から揺らぐことになりかねない。写真はブリュッセルで7日撮影(2016年 ロイター/Francois Lenoir)
ドイツのメルケル首相は、13日に投票される国内3州の選挙で大きな試練に直面している。結果次第では自らの基盤を弱め、政治生命を賭ける移民政策が足元から揺らぐことになりかねない。
慎重な政治姿勢で知られるメルケル首相は昨夏、シリア内戦を逃れてきた難民にドイツの国境を開放するというリスクの高い政策に乗り出した。首相は米タイム誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたが、ドイツ国民の間には社会に移民をどう受け入れるのかという懸念が高まった。
首相は欧州で最も影響力ある指導者という立場を利用し、移民流入に歯止めをかける欧州連合(EU)とトルコの合意を成立させようとしているが、週末の投票で、国内3州(西部2州、旧東ドイツ1州)の有権者がメルケル首相に打撃を与える可能性もある。
多くの欧州首脳は今週初め、メルケル首相が移民流入を阻止するトルコの提案を土壇場で受け入れ、各国首脳に支援を求めたことに驚いた。最終合意は次回首脳会議が開かれる3月17─18日の予定だ。
ベルリン自由大学のオスカー・ニーダーマイヤー氏は「ここでメルケル氏が提案を押し通すことができなければ、難民政策に対するスタンスを修正せざるを得なくなる」と指摘した。
そうした政策転換によって、例えばドイツ国境の取り締まりを強化することは、2017年の総選挙で4期目を目指すとみられる首相にとってダメージとなる。
3州のすべてで首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の背後に迫りつつある右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、移民への強硬姿勢によって大きく票を伸ばす可能性がある。
2013年に設立されたAfDは、反ユーロ政党から反移民政党へと姿を変え、3州のいずれでもCDUから支持を奪う形で勢力を伸ばしている。
西部のバーデン・ビュルテンベルク州とラインラント・プファルツ州、東部のザクセン・アンハルト州の人口は計1700万人で、ドイツの人口8100万人の5分の1を占める。
世論調査によると、失業率が10%を超えるザクセン・アンハルト州では、AfDが19%の支持を集め、メルケル政権の連立相手である社会民主党(SPD)を上回った。CDUは第1党を守る見通しだ。
他の2州ではCDUは安泰ではない。バーデン・ビュルテンベルク州は50年以上もCDUの牙城だったが、福島第一原発事故を受けて2011年に脱原発を掲げる緑の党がSPDと連立政権を樹立。緑の党のクレッチマン州首相は今回の選挙でCDUのライバルを打ち負かすとみられる。
ワインの産地ラインラント・プファルツ州は、勝敗の決まっていない激戦州「スイング・ステート」となりそうだ。
メルケル首相の後継候補を自任するジュリア・クロークナー氏(43)は支持率で、SPDの現職ドレイヤー州首相をリードしているが、ここ数週間で差は縮小し、いまや肉薄している。
コルトマン氏は、同州で「CDUかSPDか、いずれが勝利しようとも、全体の勝者というイメージを示すことになるだろう」と指摘した。
今週の世論調査では、メルケル首相に対する支持率が今年最高の水準に上昇。支持率は50%となり、SPDのガブリエル党首の13%に大きく水をあけた。
コルトマン氏は「(地方選の)結果によってはメルケル氏の国内基盤、特に与党内での立場が弱まるだろう」と指摘。「ただ、誰もが知るように、CDUの中に彼女に代わる人材はいない」と述べた。
(Paul Carrel記者 Michael Nienaber記者 翻訳:長谷川晶子 編集:加藤京子)